◇過去最大8000tのCO2削減効果
関東地方整備局らは、雪解け水を利用して発電を行っている矢木沢ダム(群馬県みなかみ町)の試行運用の結果を1日に公表した。2022年春の運用以降、二酸化炭素(CO2)の排出量が徐々に削減。25年春は過去最大となる約8000トンのCO2を削減した。
同局と矢木沢ダムを管理する水資源機構、東京電力リニューアブルパワー(東電RP、東京都千代田区、井上慎介社長)の3者が発表した。
雪解け水による水力発電は、東電RPが管理する発電施設で行っている。冬に降った雪は春に大量の雪解け水となって同ダムに注ぐ。満水時に放流しても発電できる量が限られているため、これまで雪解け水を有効利用できなかった。
そこで22年春以降、気象観測を行って融雪量の把握に努めた。どの程度雪解け水がダムにたまるのかが分かるため、雪解け水を無駄なく使うことができた。
取り組みの結果、25年春は発電量が約1万9700メガワット時(一般家庭5000軒分)確保できた。CO2削減量は約8000トンで、ともに過去最大を記録した。関東整備局によると、25年度は積雪深が336センチと平年の184センチより積雪量が多かったという。
矢木沢ダムは堤高131メートル、堤頂長352メートル、堤体積は57万立方メートルの規模。非越流式ドームアーチ式コンクリートダムとして1967年に完成した。