JAPIC提言プロジェクト・1/4ブロックで大規模プロジェクト

2025年9月1日 JAPIC提言プロジェクト [2面]

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 ◇交通網整備と地域振興を推進
 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、進藤孝生会長)の「国土・未来プロジェクト研究会」(藤本貴也委員長)がハードとソフトの両面から国土活性化に向けた12の大規模インフラプロジェクトを提言している。観光や産業の強化を通じた地域振興策がまちづくりに重要となる中で「国土造りプロジェクト構想」という位置付けで検討し、熟度を高めるために4ブロックを対象とした「地域ブロック総合開発計画委員会」を発足。提言づくりを先導してきたチームリーダーの声を交え、各プロジェクトの特徴を寄稿と併せて紹介する。
 これまで4ブロックの提言書を中野洋昌国土交通相に提出した。地域別のシンポジウムなどで開発プロジェクトの理解を促している。藤本委員長は「(提言に盛り込んだ)ハードとソフトの両方が相まってうまくいくのでは」と展望する。
 提言は、地域活性化に向けた大規模プロジェクトの実施と地域振興、雇用確保などを目的としている。「地域が活性化しなければプロジェクトの成果も限定的になってしまう」(藤本委員長)ため、北海道や四国のように特に影響の大きい地域を選んだ。さらに人口減少が進む地域であり、将来的に経済や雇用の基盤を確保するため、重点的にプロジェクトを展開する必要があった。
 藤本委員長は「4ブロック以外の地域についても、課題は依然として存在する」とし、全国的に見れば「山陰や日本海側など地域活性化が必要な場所は多く残っている。今回のプロジェクトは重点地域に焦点を当て経験や知見を蓄積することを優先した」と説明する。
 地域振興策を具体的に練っており、交通ネットワークの整備や地域の特色を生かした新しい観光振興の方向性などを提示している。4ブロックそれぞれでテーマを設けており、北海道では「自然・交流から持続的発展」、畿北では「北陸新幹線敦賀延伸開業を踏まえて」、四国は「特色ある自然・文化・産業で魅力を世界へ」、沖縄は「沖縄健康・幸せ島構想~拠点連結型県土構造に寄る沖縄総合開発~」とした。
 具体的には北海道では第二青函トンネルや高速鉄道の延伸、自然エネルギーを活用した農林水産業の発展を掲げる。畿北は福井県小浜市から京都府までを結ぶ「サバ街道」のサイクリングルートを柱とした地域再生、四国では新幹線整備と地域活性化、松山空港周辺の交通拠点整備、沖縄では南北を結ぶ交通網の整備や新空港の構想が中心となる。プロジェクトを実現するに当たって、地域や行政との調整が不可欠だ。道路局や鉄道局など関係機関との連携を円滑に行うことで、プロジェクト全体の効率性を高めている。インフラ整備が中心となるため、「安全性」「活力」「快適性」の三要素を確保することが重要だ。地元住民や自治体とのコミュニケーションも重視しながらプロジェクトの実現を目指す。
 藤本委員長は「各プロジェクトは地域の実情に応じて進めつつ、共通認識を持つことが重要だ」と話す。教育や地域振興などの観点から、必要な施策を適切に実施し、地域活性化の効果を最大化することが求められる。地元自治体や経済界、住民との協力を通じて、持続可能で効果的なプロジェクトを推進していく方針だ。

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