田中鉄工/廃食油活用しアス合材製造/福岡県大牟田市でプロジェクト始動

2025年9月2日 企業・経営 [11面]

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 アスファルトプラントメーカーの田中鉄工(佐賀県基山町、末吉文晴社長)は、地域で回収した廃食油をアスファルト合材の製造に活用し、地域の道路整備に還元する「Roa(d)cal(ロードカル) SDGs Project」を福岡県大牟田市で開始したと発表した。市民・事業者・行政が一体となって資源ごみの削減、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組み、ゼロカーボンシティーの実現に貢献する。
 エネルギーの地産地消によりローカルSDGs(持続可能な開発目標)の実現、道路舗装業界のカーボンニュートラルを目指すプロジェクト。長崎県大村市、北海道小樽市に次いで全国3番目の取り組みとなる。
 家庭などで使用済みの廃食油を小売店に設置した回収ボックスから油脂会社が回収し、燃料に精製して三井住建道路大牟田合材工場(大牟田市)に供給。これをアスファルト合材を製造する際の重油や軽油の代替燃料として使うことでCO2の排出を削減する。
 同工場では2024年10月に新たなプラントの運用を開始。7月までに約146トンのCO2を削減した。製造したアスファルト合材の約74%は市や隣接地域の道路約17キロの舗装に使用された。プロジェクトによって市では年間で可燃ごみを約58トン、化石燃料を約430キロリットル、CO2を約1080トンそれぞれ削減できると試算されている。
 8月29日に市内で開かれたプロジェクトの発表会で末吉社長は「地域のグリーンサプライヤーと今後も共創・連携し、市のゼロカーボンシティーの実現に貢献していきたい」と決意を語った。
 関好孝市長は「CO2排出量の削減、ごみの減量化、資源化が一層進む」と期待を寄せた。三井住建道路の上原勝美九州支店長は「今後、プロジェクトを全国各地のプラントに展開し、大地とともに歩む企業として地球環境の調和に努め、社会に貢献していく」と述べた。