トンネル専門協/切羽掘削作業員の労働時間が減少、上限規制後の対応調査

2025年9月5日 行政・団体 [2面]

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 日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、横山英樹会長)は、「トンネル坑内作業の労働時間に関する新たな取り組み・対応策のアンケート調査報告書」をまとめた。調査対象を経営幹部と作業所長に分けて実施。切羽掘削作業員にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用された2024年4月以前と以降の変化について、73・9%の作業所長が「減少した」と回答。月当たり時間外労働時間は「ゼロ」が8・7%、「1~30時間」が67・4%を占め、大半の現場が規制の範囲内になっていることが分かった。
 調査は、昨年4月に適用された時間外労働規制を踏まえ、施工系会員企業で切羽掘削作業中の23社を対象に実施。労働時間の現状や積算基準の策定の考え方などを経営幹部と作業所長に分けて聞いた。調査時期は24年8月19日~9月10日。
 経営幹部を対象にした調査では、16社から回答を得た。全社統一の1日当たりの労働時間の設定では「8・0時間」(37・5%)が最も多く、「9・0時間」と「設定なし」(いずれも18・7%)が続いた。会社の法定休日の曜日は「日曜日」が68・7%、「土曜日」が25・0%、「土・日曜日」が6・3%となった。
 トンネル専門協が労働時間に関する統一の積算基準を策定することについては「賛成」が53・3%、「反対」が13・3%、「どちらともいえない」が33・4%。仮に策定する際に職員の1日当たりの労働時間数は「8・0時間」(56・2%)が半数を超え、次いで「9・5時間」(18・7%)、「9・0時間」(12・5%)の順となった。
 一方、作業所長を対象にした調査では14社、26現場から回答を得た。切羽掘削作業員の月当たりの時間外労働時間は7割以上が30時間以下に収まり、「場合によって30時間を超えるが年間360時間に収まる見通し」が17・4%となった。ただ、規制に抵触する「毎月30時間を超えており年間360時間を上回る見通し」が6・5%あった。24年4月以降に元請企業から、労働時間で何らかの指示があったかの質問に対しては「あった」と「特になかった」の回答が同数だった。
 報告書では調査結果を踏まえ、トンネル専門協統一の積算基準の策定に向けた検討を開始したいと明記。具体的には歩掛かり策定(サイクルタイム)時の労働時間について「発注者や元請企業に左右される場合もあるものの、基本を昼勤8時から17時、夜勤18時から3時(深夜勤務時間4時間)との内容に統一して設定する」としている。昼勤の場合、拘束時間9時間で昼休憩1時間を差し引いた実労働時間を8時間とし、「実作業時間は7・5時間(朝礼・移動時間などを抜いた時間)」を明確に打ち出すとしている。