ワンデーレスポンス、国交省でも活用率7割止まり・市区町村は4割満たず/全建調査

2025年9月8日 行政・団体 [1面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の調査によると、国土交通省発注工事でワンデーレスポンスやウィークリースタンスの活用率が7割程度にとどまっていることが分かった。市区町村発注では3割前後にとどまり、発注者ごとの差が大きいことが浮き彫りとなった。工事書類の簡素化でも国交省は8割程度で進んでいる一方、農林水産省(63・3%)、防衛省(54・9%)、市区町村(38・0%)とばらつきが目立つ。会員企業からは「協議の場を増やし、受発注者が一体となって工事を進めるべきだ」との声があった。
 調査は「発注関係事務の運用状況等に関するアンケート」として7月に実施し、会員企業1891社が回答した。
 ワンデーレスポンスの活用について「(おおむね)実施されている」と答えた割合は、国交省発注工事で72・6%。都道府県・政令指定都市は45・4%、市区町村は32・8%と低かった。ウィークリースタンスも同様で、国交省は69・6%に達する一方、都道府県・政令指定都市で36・6%、市区町村は27・7%にとどまった。
 設計変更手続きの迅速化を目的とした「設計変更審査会議」の実施率も国交省発注で80・8%に上るが、都道府県・政令指定都市では36・1%、市区町村は27・6%と開きが大きい。現場からは「回答が遅れ工事が進まない」「働き方改革を理由に発注者のレスポンスが遅くなっている」といった不満が寄せられた。「議事録作成が受注者の負担になっている。音声データ提出も認めてほしい」などの改善要望もあった。
 工事書類の簡素化に関しては「進んでいる」「一部進んでいる」との回答が、国交省で82・9%と高いのに対し、農水省63・3%、都道府県・政令指定都市57・9%、防衛省54・9%、市区町村38・0%にとどまった。課題としては「発注者担当者によって必要書類が異なる」(55・7%)が最多で、「紙とデータ両方の提出が必要」(41・2%)、「不要な書類の提出を求められる」(39・1%)などが続いた。
 自由記述では「提出書類は減っているが検査時の提示書類は変わらない」「新しい書類が増え、負担はむしろ増している」「簡素化といっても内容が高度化しており作業は軽減されない」などの声が届き、形式上の改善と現場の実態で隔たりが鮮明になった。