25年上期東北企業倒産リスク分析調査/建設業が業種別最多/帝国データ仙台

2025年9月11日 行政・団体 [6面]

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 帝国データバンク仙台支店は、2025年上半期の東北企業「倒産リスク」分析調査をまとめた。企業が1年以内に倒産する確率を10段階で表す指標「倒産予測値」を基に、6月時点で特にリスクが高い企業(グレード8~10)を「高リスク企業」と分類した結果、9707社が該当した。分析対象企業10万6785社のうち約9・1%に当たり、前年から横ばいとなった。業種別では「建設業」が2565社で最多だった。倒産件数が増加する中、倒産リスクを抱える企業が依然として多い実態が明らかになった。
 業種大分類別に「高リスク」企業数をみると、「建設業」が最多。前回調査から126社増加した。次いで「製造業」が2337社(320社増)、「小売業」が2077社(273社減)。前回調査と比較して7業種中5業種が減少した中で、「建設業」と「製造業」の2業種が増加した。
 中分類別で高リスク企業トップ5をみると「職別工事業」が1255社で最多。次いで「運輸業」1061社、「総合工事業」823社、「食料品、飼料、飲料製造業」787社、「飲食店」719社と建設関連の2業種が上位に入った。
 売り上げ規模別でみると「10億円未満」の企業が9割を超え、高リスク企業は小規模企業が圧倒的多数であることが分かった。従業員数別でも「5人未満」が6879社(58・2%)で最多。「5人以上10人未満」が2145社(18・2%)で、同じく小規模企業が多い結果となった。
 同社は「県別では青森を除く5県で高リスク企業が増加し、地域全体で倒産の危険が高まっている。特に建設業は人手不足や資材価格の高止まりなど構造的な問題が拡大し、小規模事業者を中心に市場淘汰が進んでいる。小規模事業者は経営体力の限界に達しつつあり、倒産件数は増加する可能性が高い」と指摘。「生産性向上や人材確保、育成への投資が不可欠だ。経済的な窮境状態に至る前の早期段階で事業再生支援スキームや外部専門家を活用し、変化に対応することが持続的な経営を実現するための重要な戦略となる」と分析した。