環境省は16日、温室効果ガスの削減に向けて府省庁が改定した事務・事業に関する実施計画を公表した。施設整備を伴う事業があるすべての府省庁が、二酸化炭素(CO2)吸収型コンクリートの「率先調達」に努めると明記。ペロブスカイト太陽電池、GX製品の率先調達にも取り組むことを定めている。政府の実行計画が2月に閣議決定されたのを踏まえ、府省庁がそれぞれの実施計画を見直した。
2040年度までを計画期間として、取り組みを列挙してある。CO2吸収型コンクリートは、技術開発の状況に応じて率先調達に努める。技術開発について環境省は「民間の動向を踏まえた対応」(地球環境局地球温暖化対策課担当者)を求めている。
ペロブスカイト太陽電池は、耐荷重の低い建物や、壁面などへの導入が期待されており、各府省庁の実施計画は「社会実装の状況(生産体制、施工方法の確立等)を踏まえ」導入を率先するとしている。施工方法については可燃性への対処などを経済産業省や国土交通省、消防庁が検討している。民間の生産体制次第で本格導入が早まる。
GX製品は、供給量や価格を踏まえ、生産時のCO2排出を抑制したグリーンスチールが使用された家具や公用車などの物品調達を進める方針を定めた。グリーンスチールは業種ごとに行われている定義の整理が考慮されることになる。
府省庁の実施計画のうち、国交省は40年度のガス排出量を13年度比で79%削減する。太陽光発電や新築建築物などの五つに個別目標を設定した。太陽光の設置が可能な建築物であれば30年度に約50%、40年度には設置を100%にする。
同省が予定している新築事業のエネルギー性能は、原則ZEB Oriented相当以上とし、30年度までに新築建築物の平均がZEB Ready相当となるようにする。30年度以降は建築物や技術開発の状況次第で、さらに高い省エネ性能を目指す。計画には、公共建築物は「原則としてすべて木造化を図る」ことや、内装の木質化、脱炭素電源由来の電源調達などの推進も盛り込んだ。導入実績が少なくても、エネルギー効率が高く、ガス削減効果が優れる技術を活用した設備などを導入するための具体的な検討を行う方針も明記した。