改正建設業法の12月までの全面施行に合わせ、中央建設業審議会(中建審)が勧告する「労務費に関する基準(標準労務費)」の全体像がほぼ固まった。勧告対象は標準労務費の基本的な考え方をまとめた文書だけとし、鉄筋や型枠など工種別の具体的な数値は、業界団体などの関与を前提に国土交通省が決定・改定する。現時点で24の職種・分野で具体値の検討に入っているが、進捗には濃淡がある。準備が整った工種から具体値を順次公表する形にすることで、迅速で柔軟な対応に当たる考えだ。=2面に関連記事
18日に開かれた中建審のワーキンググループ(WG)で国交省が標準労務費の素案を提示し、盛り込む内容の大枠について委員らの合意を得た。詳細な記載ぶりなどに委員らの意見を反映させ、10月27日の次回会合でWGとして最終決定したい考え。続けて12月初旬の中建審総会で勧告する見通しだ。
勧告対象の文書には、標準労務費の設定水準や作成方法などを記載する。労務費や必要経費を内訳明示した見積書の普及・促進や、労務費や賃金の契約当事者間で支払いを約束する「コミットメント」制度の活用といった実効性確保策も併記する。標準労務費を示すだけに終わらず、実効性確保策もセットで取り組むべきだとの考えから、両方を勧告対象に加える。
素案では、適正な水準の労務費を「適切な職種の公共工事設計労務単価×施工条件・作業内容に照らして適正な歩掛かり」をベースに算出する考え方を提示。この適正額を円滑に確保をする観点で、国交省が標準的な施工条件などを前提とした具体値を工種別に設定し、契約当事者間で運用してもらう。
工種別の具体値は、国交省と各専門工事業団体などで意見交換が進む24職種・分野のうち、▽鉄筋▽型枠▽左官▽潜かん▽橋梁▽造園-の6職種で協議がまとまった。建築と土木で具体値を別に設定するなど、各職種の現場実態に応じて細分化の程度は異なる。標準労務費の勧告時点で、具体値を公表する段階まで協議がまとまる職種・分野はさらに増える見通しだ。