日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長ら幹部は19日、東京都内で開いた理事会後に会見した=写真。国土交通省が公表した2026年度予算の概算要求に関連し、宮本会長は「持続的な経済成長の実現のため、労務・資材価格の上昇が適切に反映された公共事業関係予算の確保、当初予算での公共事業関係費の拡大を要望していく」と述べた。
国交省の概算要求では、前年度比19%増となる公共事業費が計上された。金額を明示しない事項要求として、国土強靱化実施中期計画に基づく取り組み、労務費や資材価格の高騰対策、北陸新幹線の新規着工に必要な経費なども盛り込んだ。宮本会長は「中期計画に基づく事業が着実、速やかに進められるよう、これまでの国土強靱化予算を上回る補正予算の早期編成をお願いする」考えを表明した。
安全で安心できる国土づくりが重要との観点から、宮本会長は「短期的な施策だけではなく、長期的に日本が安定的に成長し国民が豊かな生活をできる方針を出すことが大切だ」と指摘。先を見通すのが難しい政治情勢を踏まえ、「国土強靱化の中で中期計画を着実に実施していくには、長期的な展望に立って予算を組み、実行できる内閣にしていただきたい」との考えを示した。
押味至一副会長土木本部長は「日本を強くするような施策を打ってもらいたい。経済的にも力を示す政府が理想」と今後に期待した。蓮輪賢治副会長建築本部長も「少数与党とはいえ野党と一緒に魅力ある国づくりを進めてほしい。南海・東南海トラフや首都圏直下の地震発生後の回復力をきちんと付ける事前の政策運営をしてほしい」と述べた。
日建連は、公共工事設計労務単価の政策的な引き上げも国交省に求めている。宮本会長は「労働時間を考えると、建設業技能労働者の賃金は他産業に比べると低い。この差を埋めなければ若い人が建設業に来ない。『こうあるべきだ』という賃金を設定し、それに向かって設計労務単価を上げていくような設定の仕方があってもいい」と語った。
宮本会長は新たな「けんせつ小町活躍推進計画」の策定にも触れ、「女性活躍をさらに推進するには、経営トップが自ら建設業界の未来を見据え、女性活躍に対する確固たる思いを発信することが大切だ」と強調。トップの姿勢が「全社員、さらには業界全体の意識改革と行動変容を促す要になる」と訴えた。