国交省/「労務費ダンピング調査」運用指針案/入札額内訳で直工費確認

2025年9月26日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、公共工事の入札契約段階で適正な労務費を確保するため新たに導入する「労務費ダンピング調査」の実施方法などを記載した発注者向けガイドラインの案を明らかにした。落札候補者が提出する入札金額内訳書で労務費が一定以上確保されているかどうか発注者が確認する試み。実際には材工分離が難しい実態などがあるため、直接工事費の水準を確認する簡易的な仕組みとする。市町村などにも現行のダンピング対策を補完する制度として運用を促す。
 指針案への意見募集を25日に開始した。改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)の全面施行に合わせた実施を念頭に12月の正式公表を見込む。公共工事で適正な労務費・賃金の確保と行き渡りを担保する措置として講じる。
 改正法では公共工事の入札に参加する建設業者に、労務費や必要経費を記載した入札金額内訳書の提出を義務化する。これをベースに落札候補者を対象に調査し、労務費が著しく低い恐れがあると判断した場合、理由書を提出させ、正当な理由がなければ建設Gメンに通報する。
 実際の運用では労務費ではなく、直接工事費を確認する。市場単価方式を用いる工種などで労務費の確認が難しいケースがあり、発注者の積算システムも労務費だけの総額を正確に示せるようになっていない。こうした状況でも運用可能な方法とする。
 直接工事費の多寡を判断する基準は、労務費の算入率を100%として設定された調査基準価格の中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルを参考とし、直接工事費に「0・97」を掛けた額を基本とする。
 指針案では▽土木工事▽建築工事▽小規模工事(土木・建築)-の3種類別に入札金額内訳書の様式を例示。調査の実施フローも示した。直接工事費が少ないことに正当な理由がなかった場合、法的に契約締結が無効になることはないが、発注者は建設Gメンへの通報を併せて行う。