全国建産連、国交省と意見交換/設計労務単価や歩掛かり見直しを

2025年9月29日 行政・団体 [2面]

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 全国建設産業団体連合会(全国建産連、石津健光会長)が25日に富山市内で開いた2025年度会長会議では、建設業従事者の処遇改善や働き方改革などを巡って国土交通省担当者らと議論が交わされた=写真。物価上昇や今夏の猛暑を念頭に公共工事設計労務単価の引き上げや施工歩掛かりの見直しを求める声が挙がり、国交省側は技能者賃金や現場実態を把握し対応に当たる考えを伝えた。
 意見交換では各地の建産連組織が、地域に根差した視点で提案・要望を行った。ある地域団体は、近隣県と比較し地域別最低賃金が高い割に設計労務単価が低い実態を指摘した。国交省の伊勢尚史官房参事官(建設人材・資材)は、実態調査をベースに設計労務単価が上がり、さらなる賃金上昇につながるサイクルをつくる必要性を改めて強調。12月に全面施行する改正建設業法を踏まえ「労務費に価格競争や資材高騰のしわ寄せが及ぶのを防ぐことが重要だ」と訴えた。
 6月施行の改正労働安全衛生規則(安衛則)による熱中症対策の強化や、豪雪地域の制約による作業効率の低下に合わせ、施工歩掛かりの見直し・補正を求める声があった。奥田晃久官房技術調査課長は「現場の実態把握が第一歩」と話し、受注者側に調査協力を要請。地域ごとの施工条件を踏まえた積算に努める考えを示した。
 関東地方整備局が現場環境改善費の運用を柔軟化し「快適トイレ」のグレードアップに充当可能にしたことを取り上げ、女性や若者の確保・定着策として全国展開を求める地域団体もあった。27年度からの外国人材の育成就労制度で容認する本人意向の転籍を巡り、都市圏への流出を抑制し地方の中小建設会社での定着を促す条件整備を求める声があった。
 民間建築工事で適正な工期を確保するため、建築確認申請の段階で手を打つアイデアも出た。申請書の工事着手・完了予定日の記入欄に、中央建設業審議会の「工期に関する基準」を踏まえた対応を促す注意書きを記載するよう要望があった。渡邊哲至不動産・建設経済局建設業課長は、建築確認の目的が建築基準関係規定の技術的な適合を審査することであり、それ以外の目的で用いるのは「慎重な検討を要する」と返答しつつ、民間発注者への工期基準の周知に引き続き取り組むとした。