日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)は、酷暑期に連続休暇を取得できる現場体制の構築を提言した。猛暑による熱中症リスクの高まりや夏季の歩掛かりの低下などを踏まえ、7月下旬~8月中旬を「酷暑期間」と位置付け、14~21日程度の連続休暇が取得できる体制を求めた。今後、行政機関や建設業団体に申し入れ、議論の深化を図る方針だ。
提言は「気温が33度に達すると労働生産性が約50%に低下する」という国際労働機関(ILO)の報告も踏まえ、夏季休暇案として「A案」と「B案」の2案を提示した。A案は7、8月に26日間の連続休暇を設定。10月~翌年5月を隔週週休2日、6~9月は完全週休2日とする。B案は連続37日間の休みを設け、10月~翌年3月を隔週週休2日、4月と5月は4週4閉所、6~9月を完全週休2日とする。いずれも年間稼働日数は242日、休日数は123日で同水準に保つ。
雇用制度面では、請負制の利点を維持しつつ、不安定な日給月給制から成果報酬を組み込んだ月給制への移行が必要と指摘。工事の出来高減少を見据え、専門工事会社への資金繰り支援の重要性も強調した。
厚生労働省がまとめた「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」を踏まえ、三野輪会長は「全産業で最も熱中症による死者が多い業種は建設業だ」と指摘。提言を機に「現場の休業、日給月給制から月給制への移行といった働き方を検討しなければならない」と訴えた。
制度の導入には多くの課題が伴うが、熱中症対策や業界イメージの刷新、新規人材の確保、技能者の賃金制度改革など、多方面での効果が期待される。型枠工事だけで完結する制度ではないため、業界全体の働き方や生産性を見直す契機となることを期待している。
今後、建設産業専門団体連合会(建専連)に専門委員会の設置を提案するほか、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、全国中小建設業協会(全中建)などの主要団体や、国土交通省、厚労省などの関係機関に議論の推進を求めていく考えだ。