建設業振興基金(振興基金、谷脇暁理事長)は、建設業の現場支援や調達・経理など、バックオフィス業務のDXを推進する中小建設会社のグループ・団体を支援する助成事業の募集を1日に始める。建設業団体と会員企業、元請と下請などの企業間連携を前提に、DX関連のシステムやツールの導入で業務を効率化する取り組みを幅広く募る。根強く残る紙文化や中小企業のデジタル化対応の遅れ、民間システムの乱立に起因する非効率といった建設業特有の課題の解消に役立ててもらう。
振興基金は建設業関係者や有識者を交えた勉強会を通じ、バックオフィス業務を、現場以外の本支店で行う▽現場管理のサポート業務▽企業間(元請・下請間など)の取引業務▽関係機関への届け出・申請業務▽内部管理(労務管理など)業務-の四つの領域に分類。この範囲内で企業間連携によるDX導入を直接支援する。準備段階の検討・勉強、DX人材の育成も助成対象に加える。
助成額は1グループ・団体当たり200万円が上限。中小建設会社からの申請に限るが、企業規模などで明確な基準は設けない。審査では企業間連携スキームやDXの内容、他の中小建設会社への波及性も考慮する。11月7日までメールで申請を受け付ける。11月に助成先を決定・公表する。
勉強会では建設業の特性として取引先が1社に限定されず現場ごとに変わる場合が多い「多対多」の産業構造を指摘した。取引先の労務・安全管理システムなどがバラバラで、現場ごとに別々の対応を求められるなどの課題がある。振興基金は助成対象の取り組み例を示す一方で、例示以外のアイデアも排除しない。
電子商取引の標準システム「CI-NET」の導入支援も12月1日から別途行う。新規導入に加え、既に一部業務で導入しているが利用範囲を拡大する中小建設会社を対象に1社当たり5万円を上限に助成する。