堺市上下水道局は老朽化が進む下水管の改築・耐震化を効率的に進めるため、詳細設計と工事を一括で発注する「詳細設計付き工事」を試行している。2025年度からは小口径に限らず中・大口径の管渠にも対象を広げる。効果検証と制度拡充を重ね、早期の本運用を目指す。
同制度は従来の分離発注では別々に行っていた詳細設計と施工を一括で発注する。既存の設計・施工一括(DB)方式を下水管改築・耐震化に応用した。23年度に初めて導入し、工事業者と建設コンサルタントのJVを前提にこれまで3件を発注。設計・工事双方の調整負担を軽減し、発注側・受注側の業務効率化を実現するとともに、施工現場の人手不足への対応にもつなげる。入札ではいずれも10者前後が応札し、一定の競争性が確保されている。
初弾案件となった砂道町下水管耐震化工事では約2年を要するとされた入札・契約手続きを含む設計・施工期間を7カ月ほど短縮した。現在は24年度に発注した宮山台下水管耐震化工事(延長約2・2キロ、管径200~500ミリ)など2件の小口径案件で試行中。
下水管の老朽化対策は全国の自治体が共通して抱える課題で、効率的な改築・耐震化に向けた先進事例として、各地の自治体から視察や問い合わせが相次いでいるという。
担当者は「本年度は中・大口径に対象を拡大し、件数も増やしていきたい。試行で見えてきた課題を踏まえて制度を磨き上げ、全国的な下水道管更新という政策課題の解決の一手にしていきたい」としている。