CLT建築物整備状況/東北6県で122件竣工/多様な分野で木材利用進む

2025年10月10日 行政・団体 [6面]

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 政府が木材利用拡大の一環で推進するCLT(直交集成板)の建築物整備が東北各地でも着実に浸透している。6月30日時点の集計によるとCLTを活用した建築物は、2024年度までに東北6県で122件(うち国関与18件)が竣工。25年度にも10件が竣工する見込みで、26年度以降は8件が整備予定。推進協議会などの官民連携の下、公共施設や住宅、教育・福祉施設など多様な分野で利用が進捗している。
 CLTは、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。強度や耐火性能に優れ、中高層建築や大規模建築での利用が期待されている。
 24年度までの件数と竣工見込みを併せた県別件数では、宮城が47件で最多だった。庁舎や企業の本社ビル、宿泊施設など幅広い用途で導入。「東北大学建築CLTモデル実証棟」では、床や壁、屋根にCLTを使用し、内部は意匠・構造・設備が融合したCLT空間を実現した。次いで福島が42件。復興公営住宅や県立学校、森林管理署庁舎などに採用。両県ではCLT生産流通体制の構築や技術者育成などに取り組む「CLT等普及推進協議会」の活動もあり、普及啓発が進む。
 秋田県は19件。県立大学木材高度加工研究所(能代市)をはじめ、県庁舎施設や遊歩道橋などインフラ分野にも波及。岩手は16件で、豊沢ダム管理事務所(花巻市)や福岡工業高校校舎(二戸市)など公共・教育施設で活用が広がる。
 青森県は9件で、むつ市の児童福祉施設「本州最北端プロジェクト」や弘前市の森林管理署庁舎など、県南から津軽地域まで点在している。山形県は7件で、鶴岡市の羽黒高校新校舎や白鷹町の複合施設「まちづくり交流拠点」など、教育・福祉分野を中心に活用している。