チスイレンジャーのゲームが登場/東北整備局と東北学院大がコラボ

2025年10月21日 行政・団体 [6面]

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 ◇流域治水PR、ゲームで楽しく学ぶ
 洪水災害からまちを守る東北地方整備局の「流域戦隊チスイレンジャー」が活躍の場を広げている。東北学院大学との連携で、チスイレンジャーが主役を務める洪水対策ゲームが登場。河道掘削や田んぼダム、高台避難などハード・ソフト両面での治水対策をスキルに落とし込み、子どもにも親しみやすい内容にした。宮城県石巻市の旧北上川中瀬公園で18日に開かれた「北上川フェア2025」で初公開。来場した子どもたちに楽しみながら洪水対策を学んでもらった。
 ゲーム開発を担当したのは、水工学や画像計測を研究する東北学院大学工学部環境建設工学科の三戸部佑太准教授。津波数値シミュレーションと画像解析技術を応用したゲーム開発の経験を生かし「子どもを含む多様な世代に防災を知ってもらえるコンテンツを目指した」という。
 ゲームには治水レッドフラワーピンクなど7種類のレンジャーが登場する。各レンジャーは堤防設置、河道掘削などの特定のスキルを保有しており、プレイヤーはレンジャーを配置して大雨モンスター「アメゴル」から街を守る。洪水の総量から川を流れる流量の時間変化をシミュレーションし、浸水状況や被害額などの対策効果を確認。街への被害が少ないほど高得点を獲得する仕組みだ。
 絵柄やカラーリング、スキルなどを複数種類から選択できるため、自分だけのオリジナルレンジャーを作成できる。作ったキャラクターはカードに印刷して持ち帰ってもらい、興味と関心の醸成に役立てる。
 ゲームを体験した子どもは「いろいろな役割があって、それをうまく使いこなすことが大切だと思った」「カードをもらえてうれしかった」などと目を輝かせていた。
 三戸部准教授は「防災の仕事に興味を持ってもらうきっかけにしてほしい」と展望する。「より多くの人に触れてもらいたい。イベントだけでなく公開や配信につなげていきたい」と意気込む。子どもたちの感想などを踏まえ、より遊びやすく改良していく考えだ。
 チスイレンジャーは北上川下流河川事務所の流域治水課に在籍していた職員が考案。流域治水を子どもから大人まで幅広くPRするため、チスイレンジャーを小学校での読み聞かせ活動などで展開してきた。岸本愛香流域治水課長は「子どもたちにとっては流域治水という言葉や考えに初めて触れるきっかけになるかもしれない。活躍の場をさらに広げていきたい」と話している。
 北上川フェアは、河川への関心を高めてもらう目的で東北地域づくり協会みちのく国づくり支援事業の支援で開催している。同日は北上川下流河川事務所のCar-SAT展示、宮城県建設業協会石巻支部の建機試乗体験なども企画した。