大林組がシンガポールへの建設事業進出60周年を記念し、現地ホテルのマリーナベイ・サンズで9月4日に式典を開いた。大林剛郎会長兼取締役会議長や佐藤俊美社長兼最高経営責任者(CEO)ら役職員、ステークホルダーの関係者に加え、来賓のチー・ホン・タット国家開発相や石川浩司駐シンガポール特命全権大使ら約620人が出席。同社のサステナビリティーやDXの取り組みを紹介する動画上映や日本らしい和太鼓や鏡開きなども行い、節目を盛大に祝った。
20日に発表した。式典でリー・アイクセンアジア支店長兼大林シンガポール社長は、「シンガポールのスカイラインとインフラ形成に誇りを持って携わってきた。この歩みは『信頼』『協働』『誠実なものづくり』によって築かれたものだ」と振り返った。さらに「政府機関やクライアント、パートナー、高等教育機関、地域社会とのパートナーシップは、当社の成長の礎となっている。今後も人材育成とイノベーションに力を注ぎ、シンガポールと共に歩んでいく」と語った。
タット国家開発相は「この60年間、シンガポールと一緒に歩んでくださったことに心から感謝申し上げる。シンガポールは建国60周年の節目を迎え、大林組の歩みが国家建設の歴史と深く連動していることを改めて思い起こさせる。シンガポールがマレーシアから分離した年に私たちへ投資し、信任の一票を投じてくれた」と感謝の言葉を伝えた。
式典では、アジア各国のパートナー企業と現地大学の奨学金制度などに150万シンガポールドル以上を寄付してきたことも紹介した。併せて9月3~5日にマリーナベイ・サンズで開かれた国際建設イベント「BEX ASIA」に出展し、シンガポールでの建設事業の歴史や未来に向けたビジョン、最先端の技術もPR。森と共に生きる木造循環型都市をコンセプトにした「LOOP50」の模型展示やバックホウ遠隔操作のデモンストレーションも行い、サステナビリティーや脱炭素などの事業に国内外で注力する同社の姿勢を発信した。
大林組は1965年にシンガポールで建設事業を開始。土木を中心に展開し、シンガポール東部海岸の埋め立てなど大規模な土木工事に携わった。90年に現地法人を設立。2014年には建築部門を現地法人化し、オフィスビルやデータセンター(DC)、チャンギ空港内の複合施設など象徴的な建物を多く手がけた。チャンギ空港の第5ターミナル基礎工事にも参画している。24年にはアジア地域の研究開発拠点として「Obayashi Construction-Tech Lab Singapore」を設置。遠隔操作クレーンやロボティクス、3Dプリンティングなどの技術を試験導入している。