JR東日本、JR東海/検測車や新技術の開発推進/AI使い地上設備の状態把握

2025年10月21日 企業・経営 [4面]

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 JR東日本とJR東海が新幹線のレールや架線などの状態を調べる検測車や技術の開発に取り組んでいる。JR東日本は先端技術を使い、高速走行での調査が可能な車両を造る。東北や上越を含め全方面の路線に2029年度導入する。JR東海は1月に引退した検測車(ドクターイエロー)に代わり営業車へ新たなシステムを設置。27年1月の運用開始を見込んでいる。
 JR東日本が製造を計画する専用車両は、時速320キロで走行しながら検測する。省人化に加え、遠隔操作による無人化も目指す。自動運転の導入も検討する。
 レールのゆがみはこれまで、走行速度が時速275キロを超えると把握できなかった。床下に複数のセンサーを1カ所に集約した装置を設置。2Dレーザーの多点測定を採用することで、より詳細で正確なデータを取得する。
 電車線金具はこれまで保守用車に乗った作業員が目視などでの状態を把握していた。新たな検測車はカメラの画像を基にAIが金具を検知。検知画像をスクリーニングし、メンテナンスが必要かどうかを判断する。
 車体のデザインはJR東日本グループの社員が応募した作品の中から選ぶ。検測車は次期秋田新幹線をベースに製造。▽東北新幹線▽上越新幹線▽北陸新幹線▽山形・秋田新幹線-のエリアを走行する。
 JR東海は営業車で検測できる技術開発を推進。ドクターイエローは、一つの車両に取り付けている二つの台車の間にレーザー光を照射。レーザー光を基準線とし、軌道の形状を把握していた。車両の底上げも必要だった。新たな技術では、一つの台車だけで形状把握が可能。車両の底上げも不要だ。
 架線の検測は営業車のパンタグラフ付近にカメラを3台設置。撮影した画像を解析し、異常を自動で検知する。運転台にもカメラを配置し、画像処理技術やAIで前方の電線や電柱に対する支障物を自動検知する。