中部整備局/新丸山ダム定礎式開く/2036年度完成目指す

2025年11月26日 行事 [8面]

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 中部地方整備局は24日、新丸山ダムの定礎式を岐阜県御嵩町の左岸側現場で開いた。既存ダムの機能を維持しながらかさ上げする難易度の高い事業。式典には国会議員や国土交通省の職員、自治体関係者、施工者ら約200人が参加し、本格的な本体建設工事に向け礎石を納め、ダムの安泰と永久堅固を祈願した。施工は大林組・大本組・市川工務店JV。2036年度の完成を目指す。
 国交省の水嶋智事務次官は「新丸山ダムの洪水調節機能の強化は流域治水の中核を担い、河川環境の保全やカーボンニュートラル(CN)にも貢献する。難しい事業だが、官民が連携し最先端技術を駆使しながら進めている」と事業の意義を強調。インフラツーリズムなどダムを核とした地域振興にも期待感を示し、「皆さんの期待に応えることができるよう一日も早い完成を目指し、安全に留意して全力で取り組む」とあいさつした。
 続いて来賓の国会議員や周辺自治体の首長が祝辞を述べた。江崎禎英岐阜県知事は「浸水被害がたびたび発生しており、県土の強靱化は待ったなしだ。事業は住民の安全・安心の確保や観光による流域の発展、関連道路の整備による利便性の向上など大きな効果をもたらす」と強調。新丸山ダム建設促進期成同盟会の会長を務める藤井浩人岐阜県美濃加茂市長は「事業に関わった多くの先人もきっと喜んでいる。安心して次の世代にバトンを渡すことができるよう、同盟会も完成に向け尽力する」、金子政則岐阜県八百津町長は「町民の安全・安心を確保するために欠かすことのできないものだ。安全第一、近隣への配慮をお願いし、工事の円滑な推進を祈念する」、渡辺幸伸御嵩町長は「治水とともに利水の機能にも期待する。事業を着実に推進してほしい」と述べた。
 中部整備局の浅井慎一新丸山ダム工事事務所長による事業概要説明に続き、儀式では大林組JVの職員らが礎石を搬入。森本輝局長が「木曽川水系の治水に寄与し、岐阜県発展の根幹施設として豊かな地域づくりに貢献することを祈念する」と定礎宣言した。国会議員や国交省、自治体、工事関係機関の代表者らで、礎石を固めるためにモルタルを入れる「鎮定の儀」、それをならす「斎鏝の儀」、より強固なものにする「斎槌の儀」を実施。地元小学生は「大きいダムができますように」「これからも町を守ってね」などの思いを込めたメッセージストーンを礎石の周りに設置した。その後、バケットからコンクリートを投入し礎石と堤体が一体となるよう埋め込む「埋納の儀」が行われた。
 最後に万歳三唱とくす玉開披を行い、定礎を祝うとともに今後の工事の安全を祈願した。
 事業では、既存ダムの下流側に新丸山ダムが一部重なるよう整備し、20・2メートルかさ上げする。形式は重力式コンクリートダム。整備後の堤高は118・4メートル、堤頂長は340・6メートル、総貯水容量は1億3135万立方メートル。洪水調節容量は現在から約3・6倍の7200万立方メートルになる。21年12月に本体工事に着手。DXを推進し、コンクリートの骨材製造から打設まで一連の工程を集中監視室で制御する自律型コンクリート打設システムの導入を目指している。