前田建設/下水管路劣化診断・空洞点検技術を現場実証/26年3月に実用化めざす

2025年12月1日 技術・商品 [3面]

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 前田建設は、自社開発した下水管路の劣化診断・空洞点検技術を現場実証する。硫化水素の生成から劣化までをシミュレーションで診断可能な「硫化水素劣化予測診断技術」と、無人で管路内から周辺の空洞を調査できる「空洞点検ロボット技術」の有効性を確認する。2026年3月ごろの実用化を目指す。
 現場検証は、熊本市上下水道局や管清工業(東京都世田谷区、長谷川健司代表取締役)と連携して展開中。市の「下水道管路施設包括的維持管理業務委託」の一環として、9月から実施している。
 硫化水素劣化診断技術は、国際水協会(IWA)が提唱する硫化水素の生成予測手法「WATSモデル」を使い、微生物による管路の劣化予測を適切に評価する。▽管路・人孔の設置年度や材質、管径・深度など▽定期点検に基づく劣化の進行▽汚水・汚泥のサンプリング分析による微生物の地域性-などを考慮し、管路全体の劣化予測をシミュレーション。リスクを可視化し、最適な更新・更新計画の立案などで活用を促す。
 空洞点検ロボット技術は、管路上部の道路陥没事故などに発展し得る管路周辺の初期空洞を無人で計測する。管路内の天井部を無人走行できる点検ロボットを活用。電磁波レーダーを用いて管路内から管路背面の空洞を直接調査し、初期空洞の検出が可能になる。遠隔操作にも対応して安全な調査の実現にも役立つ。
 硫化水素劣化診断技術で劣化リスクの高い下水管路が特定しやすくなる。空洞点検ロボット技術を組み合わせることで、特定の管路を適切に予防保全するための状態監視技術としても効果を期待する。