派手な服を着た若者が闊歩(かっぽ)し、洋服店などが軒を連ねる東京・原宿の竹下通り。久しぶりに訪れてみたが、相変わらず多くの人でにぎわっていたものの、一昔前とは雰囲気が変わった気がした▼単に外国人旅行者が増えたからではない。流行の発信地だけに、行き交う人々はおしゃれなのだろう。似たようなファッションになるのは仕方がないにしても、どことなく個性が感じられない▼似たようなことは、教育の現場でも起きている。大学教員をしている知人によれば、大勢がいる教室で1人の学生をほめるのは、あまり良い行為とはされないという。学生にとっては、皆の前で注目を集めたくないからだそうだ▼個性とは、他人と違った性格や性質を意味する。人から「個性的だね」と言われてうれしくなるのは、自分のセンスや在り方が評価されたと感じるからではないか▼新聞記者は、競合紙よりも優れた記事を書くために最大限の努力をする。取材先に「顔を売る」のも仕事のうちで、ある意味では営業職に似ている。社会人としてスタートを切った若者には、ぜひ個性を丹念に磨き続ける人間になってほしい。








