回転窓/長工師ファン・ドールンの功績

2026年1月19日 論説・コラム [1面]

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 明治時代に内務省土木局「長工師」の肩書を持つ外国人技術者がいたのをご存じだろうか。オランダ人のファン・ドールンがこれに任じられ、日本三大疎水の一つ「安積(あさか)疏水」整備などに貢献する▼優れた低水土木技術を有するオランダから日本に招聘(しょうへい)された土木技術者の中でも、長工師は最高位の役職。現代で言う「技師長」として重要な役割を担った▼水源に乏しく荒涼とした原野だった安積地方(現在の福島県郡山市周辺)を、猪苗代湖からの導水で豊かな穀倉地帯へと変えた安積疏水。実地調査を行い、この結果から疏水事業を政府に決断させたドールンの功績は大きい▼猪苗代湖畔の十六橋水門近くに功績をたたえて建立された銅像は、第2次大戦中に軍需資源とするため撤去・回収の危機にひんした。これを疏水関係者が地元農民らと山中に埋めて隠し、戦後に掘り起こして元に戻したという。こうした逸話からも疏水が地域にどれほど大切なインフラで、その功績者がいかに敬われていたかが分かる▼河川改修や港湾建設にも携わり、日本に近代土木の道を開いたドールン。今年は没後120年に当たる。