東日本大震災15年インタビュー/アースデザインコンサルタンツ・菊池透社長

2026年3月10日 企業・経営 [6面]

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 東日本大震災からの復旧・復興を語る上で、地域建設業が果たしてきた役割は欠かせない。震災から15年が経過し、記憶の風化が危惧される中、教訓を次世代に継承する重要性は増している。地域再生の最前線を担った建設会社・コンサルタントに大規模災害への備えを聞いた。

 ◇東北の復興をモデルケースに
 --大船渡を襲った津波で社屋も被害を受けた。振り返りを。
 「社有車や本社1階に保管していた測量機器が津波で流出し、大きな被害を受けた。幸い人的被害はなく、その後は残った機器を洗浄し、復旧を優先して寝る間も惜しんで測量や査定などに対応した。当時はまさに地獄のような状況だった」
 「少しずつ復興の道筋が見え始め、大船渡市のかさ上げや高台移転地の設計、陸前高田市でのPPPなど、象徴的なプロジェクトにも関わった。復興道路である三陸沿岸道路の整備にも参画したが、これほど短期間で開通するとは思わなかった。多くの犠牲の上に成り立った復興を、次の災害に備えるモデルケースとして生かさなければならない」
 --いかに次の世代に震災の教訓をつなぐべきか。
 「震災当時に在籍していた全社員に『その時、自分がどこで何をし、どう行動したか』を書きつづってもらい、写真も収録した記録集を作成した。新入社員に配布し、当時の空気感を伝える貴重な教材としている。慌ただしさの中で後回しになっていた過去の査定記録をAIで整理し、類似災害が起きた際に迅速に参照できるアーカイブの整備も構想している」
 --15年が経過した今、新たな課題は。
 「復興需要のピークアウト後は、地域の建設業やコンサルタントを問わず、厳しい環境にさらされている。地方では建設業が基幹産業の役割を果たしているため、公共工事が一気になくなれば、建設業だけでなく地域の存続にも暗い影を落としかねない」
 「一気呵成に整備されたインフラの維持管理が大きな課題として待ち受けている。道路や構造物が一斉に老朽化し、対応に追われることになる。震災当時の体力が残っていない会社も多く、長寿命化を施しながら更新時期をずらし、順次対応していく戦略が不可欠だ」
 「地方では建設系学科のある高校や大学など、学びの場自体が少なくなり、自治体の技術系職員も減少している。大規模災害はいつ、どこでも起こりうる。土木・建築を志す若者を増やすため、国の後押しが必要だ」。