匠の技が衛生陶器生産支える/TOTOサニテクノ小倉工場から

2026年4月20日 企業・経営 [3面]

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 TOTOグループのTOTOサニテクノ小倉工場(北九州市小倉北区)は、創立の地に立つグループ全体の技術指導の拠点で、多品種を生産するマザー工場でもある。衛生陶器の老舗メーカーとして挑戦を続けるグループの土台を支え続けている。
 衛生陶器は、陶石や粘土など20種類以上の天然素材を原料に製造する。小倉工場では主に開発段階の製品や特殊な衛生陶器をつくっており、工程のほとんどが職人による手作業だ。創立以来100年以上かけて磨き続けた技術は、高品質で使いやすい衛生陶器を生み出す原動力といえる。
 衛生陶器づくりは、原料を水とともにシリンダーミルに入れ、20時間回転させて液体状の粘土材料・泥(でい)しょうをつくるところから始まる。出来上がった泥しょうを石こう型へ流し込み、パーツごとに成形。手作業で接着して乾燥させる。乾燥工程で水分が抜け、さらに焼成工程でも収縮するため、使用する型は完成品よりも13%サイズを大きくするのがポイントだ。
 その後、2日かけて乾燥させ、肉眼による最初の検査を実施する。次に職人かロボットがうわぐすりを塗布し、丈夫で汚れにくく、美しいつやと色のベースをつくる。施ゆうでは、うわぐすりを満遍なく塗布することが重要だ。施ゆう工程の後は、長さ115mのトンネル窯で24時間、温度を変えながら焼成する。焼き上がった衛生陶器の出来栄えをチェックし、検査を通過すれば完成品となる。
 TOTOは、国内にまだ下水道が十分に整っていなかった時代から衛生陶器の研究を開始し、その時からアジアへの輸出も視野に入れていたという。トイレ空間は、和式から洋式へ、さらにウォシュレットの普及や快適さの追求など、時代とともに変化してきた。だが、その基礎はいまもなお職人の手による“匠の技”が支えており、そこにものづくりの奥深さがある。