神奈川県藤沢市は、建設中のJR東海道線「村岡新駅(仮称)」の周辺を、先端産業の集積地として整備する。新駅周辺の約7・3ヘクタールで、都市再生機構を事業者とする土地区画整理事業が進む。このうち駅北側の2・7ヘクタールに企業の研究施設などを誘致する計画だ。民間の力を生かすPPPで整備し、市は年度内にも事業者の公募を始める。
村岡新駅は大船駅と藤沢駅の間に位置する。2032年の開業に向け、建設工事が進んでいる。駅周辺には、武田薬品工業や神戸製鋼、アズビル、湘南鎌倉総合病院などが拠点を置く。市は新駅を弾みに先端産業の集積を加速させ、一大産業拠点に育てたい考えだ。
官民連携エリアのコンセプトは「尖(とが)る創造と広がる創造を生み出す街」。市は本年度中の公募開始に向け、借地料などを詰めている。
公募では、先端産業が集まる同エリアの知見を地域に還元する提案を求める。単に研究開発拠点を設けるだけでなく、「地域の子どもたちへの“教育”に生かせる仕掛け」を盛り込むことを想定している。研究を見学できる施設や、特定日に施設を一般開放するなどの工夫が考えられる。
駅利用者向けのサービス機能や飲食店、交通広場の整備なども提案の対象となる。住居の建設は必須ではないが、市は「提案として出てくる可能性はある」としている。
新駅の南側は神奈川県鎌倉市の深沢地区と接続する。同市は同地区への市庁舎移転を計画しており、実現すれば新駅は藤沢、鎌倉両市をつなぐ拠点となる。市庁舎の移転は建設費の高騰理由に計画が止まっているが、駅周辺の区画整理には影響しないという。
藤沢市が課題に挙げるのは、「新駅の構想が沿線以外の地域住民に知られていないこと」だ。ワークショップや説明会を開き、新駅開業への関心を高めたい考えだ。
■村岡新駅(仮称)■
JR東海道線の駅としては、1925年の熱海駅以来、約107年ぶりの新駅となる。建設のきっかけは85年、同地にあった国鉄湘南貨物駅が廃止されたことだった。翌年には地元自治会が市議会に新駅設置を請願。神奈川県と藤沢市、鎌倉市、JR東日本が2021年に新駅設置の覚書を交わし、事業が本格化した。1日当たりの乗降客数は6万5800人を見込む。








