JR東日本グループの強みを生かした鉄道分野のコンサルタント業務に軸足を置きつつ、非鉄道分野の事業も強化する。積極的な技術提案を通じてJR外の鉄道各社への技術支援にも乗り出すなど、プッシュ型で事業拡大に挑む。新技術の活用では、グループの枠を超えてスタートアップ企業とも協業する。
--就任の抱負を。
「JR東日本からの受注に頼る事業構造から一歩踏み出し、東日本以外のJR各社や民鉄にも技術支援ができる体制を目指す。ホームドア、構造物の耐震設計やメンテナンスなど、豊富な実績で培った知見を生かし、鉄道コンサルとしての地位を確立したい。将来的には自治体などに駅周辺のまちづくりを提案し、鉄道にとどまらないインフラ関連業務にも挑戦したい」
--経営の現況は。
「2026年3月期の売上高は242億円と、コロナ禍前の水準に戻ってきた。ここ数年は調査計画・設計、メンテナンス、情報ソリューションの売り上げ構成が4対3対2程度で推移している。連続立体交差事業の調査設計や鉄道インフラの点検需要は底堅い。26年度は『中期経営計画2031』の初年度だ。既存事業の強化と事業領域の拡大を図り、最終年度の売上高は前期の3割増を目指す」
--新たな注力分野は。
「営業体制を強化し、26年度から社長直下に営業統括室を設置した。営業戦略立案・JRグループ外営業の統括などを行う。地方の中小民鉄や第三セクターは技術者が不足し、維持管理体制が年々厳しくなっていると聞く。単に業務を受託するのではなく、発注者の視点に立ちインフラ整備を支援できる力があると考えている。スキームをJR東日本と協力して検討する。東京駅丸の内駅前広場などで実績を積んできた緑化事業(コンサルタント・設計・施工・メンテナンスの一連のサービス)も、高輪ゲートウェイシティや大井町トラックスへ拡大を図っている」
--協業の戦略を。
「点群データやAIを活用した設計から施工、メンテナンスに至る現場業務の最適化、BIMを用いた効率的な設計手法の開発など、急速に技術が進歩している領域でスタートアップ企業と協業していく。協業を通じ、グループ外での事業も広げていく」
--人材の確保と育成は。
「社員の高齢化で技術継承がより大きな課題になる。26年度から大卒初任給を前年度に比べ約15%引き上げた。高卒採用にも力を注いでいる。来年5月に本社を、JR東日本が開発した複合施設(大井町トラックス)に移転する。社員のつながりを生む方策を練り、エンゲージメントを高めていく」。
(6月29日就任)
(おやま・ひろし)1989年東京工業大学(現東京科学大学)大学院理工学研究科修了、JR東日本入社。2020年執行役員、22年常務執行役員を経て26年6月現職。千葉県出身、62歳。好きな言葉は「ワンチーム」。専門性を結集して初めて安全に稼働する鉄道の現場を長く担当した経験から、チームの一体感を大切にする。







