下水道分野で新技術の開発が進展している。施設の老朽化や担い手不足を背景に、点検・調査や修繕、更新技術の高度化への期待は高まる。新技術を「開発する」だけでなく、地方公共団体や地域建設業者が現場で継続的に「使える」環境をどう整えるかが、今後のポイントとなる。官の制度整備を着火点に、技術開発と現場導入がどこまで進むか注目されている。
日本下水道協会が4~7日に開催した「下水道展26東京」は、出展者数が過去最多となった。企業の下水道に対する関心の高まりがうかがえる。
写真や映像から高精度な3Dモデルや測量図を作成するソフトウエア会社の担当者は「点検業務などは、従来のやり方に慣れ親しんでいる場合が多く、デジタル技術などの導入に踏み出しにくい場合も多くある。初期投資への抵抗感も強い」と現状を見る。下水道管理を担う地方公共団体や地域建設会社の初期コスト負担や、マインドの転換も現場導入のハードルになっている。
担い手不足も深刻だ。管路資材を取り扱う企業の担当者は「いかに効率的に、手間をかけずメンテナンスできるかが重要になる」と話す。熟練技能者が高齢化し、経験や知識のばらつきも課題になる状況で、できるだけ扱いやすい材料の開発を進めているという。
水中ドローンなどを取り扱う企業の担当者は「いくらドローンなどの最新技術が普及しても、使いこなす人がいなければいけない」と課題を指摘する。技術そのものの高度化に加え、現場で使いこなす人材育成も乗り越えるべきハードルになる。
昨年1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故を教訓に、国は下水道法と道路法を改正した。7月15日に成立した改正法では、下水道施設の老朽化状況を把握するための診断基準の法制化や診断結果の公表義務化などを盛り込んだ。国交省幹部は「器はできた。中身はこれからだ」と話す。
下水道管理者による施設の状態把握や診断の重要性はこれまで以上に高まる。安全を最優先にしながら、限られた人員で精度の高い診断を行うためには、点検・調査技術の高度化と現場への実装が欠かせない。







