◇事前に理解し来春へ備えよ 外国人の育成就労制度に関連する法律改正は2024年6月に成立し、公布された。施行は27年4月1日で、ほぼ3年の準備期間が設けられた。これまでの技能実習制度はそもそも研修制度がルーツにあり、母国に戻って働いてもらうための「国際貢献」が法律の目的だった。しかし、実際には外国人材が日本国内の人手不足を補うための労働力として活用され、賃金は低く、転籍もやむを得ない場合に限定された。このため、失踪者が相次ぎ、国際的にも批判を浴びた。育成就労制度はこうした課題を解決するために設けられた。 では、なぜ約3年という長期の準備期間が設定されたのか。25年末時点の技能実習生は、全8分野94職種171作業で46万人にも達する。外国人在留者全体の約12%、うち外国人労働者の2割強を占める。これだけ多くの人がいる技能実習生の制度変更には、関連する政省令、告示さらには全体運用方針や分野別の運用方針の作成など、多くの時間が必要と判断されたためだ。 既に公布から2年が経つが、送り出し国との2国間取り決め(協力覚書)の作成はあまり進んでおらず、正式作成済み国は数カ国にとどまる。育成就労計画の認定要件の一つである分野別の「育成就労協議会」の立ち上げもやっと始まったばかりで、受け入れようとする企業の育成支援を行う「監理支援機関」の事前許可申請も4月に解禁となったが思うように進んでいない。9月1日には受け入れようとする企業が提出する「育成就労計画」認定に関する施行日申請の受け付けが開始されたが、このままではこの事前申請は進まないとの指摘もある。 準備体制が遅れる中で、技能実習生の新規受け入れは原則として27年3月末には終了する見通しだ。このため、外国人材を活用する建設企業は、育成就労制度の仕組みを十分に理解し、着実に準備を進めていかなければならない。建設現場では、外国人材が今や貴重な戦力になっている。それだけに、業界を挙げて早急な対応が求められている。 「育成就労」といっても、そもそも言葉の意味が分からず、ピンとこない人も多いだろう。これまでの外国人材に対する国際貢献という位置付けから、日本での「人材育成」と「人材確保(人手不足対応)」に絞って出来上がった造語のため、イメージが湧きにくい。一言で言えば育成就労者は「実習生でも一人前の労働者でもない」中間的な発展途上段階の存在だといえよう。「人材育成されながらも同時に就労する者(特定技能1号水準を目指す)」という、新たな立ち位置にある。 こうした分かりづらい「育成就労」の概念は、送り出し国にとっても理解が難しい。出入国在留管理庁は育成就労者について「trainee(技能実習生)」でもなく、「worker(特定技能労働者)」でもなく、中間的な存在として「employment」という用語を使っているが、これが非常に分かりにくい。制度の成り立つ前提として、送り出し国政府との協力覚書の作成が必要だが、用語の理解に手間がかかっていると聞く。 建設分野の育成就労者は、これまでの母国に戻って建設業に従事し、国際貢献するのではなく、日本で一人前の技能者になるために働く、いわば「見習工」となる。育成就労計画内容のイメージからすると、「補助作業業務従事者」とも言えるだろう。特定技能1号を目指して現場で技を取得していく意味から考えると、「特定技能ゼロ号」と言ったほうが、分かりやすいのかもしれない。 連載は27年4月にスタートする新在留制度「育成就労制度」について、国際建設技能振興機構(FITS)の神山敬次専務理事が建設業界の外国人材の活用状況を踏まえながら分かりやすく解説する。








