神奈川県大和市にある研究開発拠点「SANKI R&Dセンター」は、ロボット開発をはじめ、三機工業の建設DXをけん引する。4月に就任した植村聡執行役員センター長は、建築設計の現場経験を経て、26年余り研究・開発の第一線に立つベテランだ。2025年に創立100年を迎えた同社の歴史を念頭に、「次の100年をつくる技術戦略拠点だ。挑戦を楽しみ、社会実装までやり切る意識を定着させたい」と強調する。
現在の三機テクノセンター内への移転を機に18年10月、技術研究所から改称した。同社は中期経営計画(25~27年度)で成長投資枠として500億円を設定し、R&Dを重点投資する五つの分野の一つに位置付ける。植村氏は「企業の研究・開発は、最終的に施工現場や顧客への価値につなげることが重要だ。特に人の能力に依存するため、しっかり学び、研究できる人材の成長を促していく」と運営方針を語る。
2月に発表した「フレキシブルダクト施工支援ロボット」は、天井に軽量で柔軟性のある空調用の「フレキシブルダクト」を自動でつり下げる。従来工法と異なり、高所作業車や足場を使わず地上から施工できるため、作業員は1人で済む。高所での作業時間を50%以上減らし、負担軽減と安全性の向上を両立する。
植村氏は「AI利用とロボティクスは他社より進んでいるのではないか」と自負する。三機工業は既に大半の社員が生成AIを業務に活用している。特許や論文、他社の動向などの調査では、これまでのように専門企業に依頼することがなくなったという。将来は「埋もれている暗黙知を生成AIで引っ張り出し、次の仕事につなげる仕組みをつくりたい」と語る。ヒューマノイドロボットについても「まだまだ現場への導入は難しいが、巡回など、できるところから始めたい」と見通す。
センターでは、外部との連携によるオープンイノベーションも積極的に進める。KPI(重要業績評価指標)の一つに位置付ける「共創」の件数は順調に増えているという。パートナーについては「開発を深く、広く、早くできるような相手を探す。簡単には見つからないため、日頃から展示会や学会の懇親会に顔を出すよう職員に伝えている」と話す。








