宇宙航空研究開発機構(JAXA)のレーダー衛星が、地方自治体のインフラマネジメントに貢献している。衛星から地表を観測することで、広範囲の状況を定期的に把握できる。レーダーを使えば雲や昼夜の影響を受けずに地盤や構造物の変位が捉えられる。インフラ分野では、点検業務の効率化や予防保全につなげる取り組みが進んでいる。
JAXAのレーダー衛星「だいち」シリーズは、地表面の変化を面的に把握できるのが特徴だ。特にインフラ管理では、天候や昼夜を問わず地表の変化を捉えられる「合成開口レーダー(SAR)」が有効となる。対象物の形状を捉えられる以外に、植生の影響を受けにくく、地盤や構造物の変位を高精度に把握できる。2回の観測データを比較すれば、地表面の変位を計測できる。
2014年以降、「だいち2号」の観測データを蓄積しており、経年変化の把握にも活用できる。24年7月には「だいち4号」も打ち上げられ、観測能力が強化された。観測データから画像処理で必要な情報を抽出する。この情報を基に、点検や対策などの現場作業が必要な箇所を早期に検知・絞り込み、予防保全や作業の効率化につなげている。
衛星データを活用する自治体も増えている。茨城県は、河川堤防の変状把握に活用し、現地調査を効率化している。衛星データによるスクリーニングで変状の可能性がある箇所を絞り込み、必要な場所を重点的に確認。点検にメリハリを付ける。県のホームページでは、従来の手法と比べてコストを約10分の1に抑え、調査期間も約10年から4年に短縮した事例として紹介している。
奈良県でも、道路防災カルテに衛星観測を組み合わせる取り組みが始まっている。斜面災害への対応に加え、技術者不足を背景に、衛星データを活用して防災上のリスクを効率的に把握する狙いがある。JAXAは和歌山県との共同実証も発表。ダム湖や道路のり面など、ほかのインフラへの適用可能性を検証している。
今後、民間の小型衛星などを組み合わせ、自治体の予防保全やインフラDXに向けた研究開発と現場実装をさらに進めるとしている。







