日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)は21日、「うみの現場見学会」を鹿児島港(鹿児島市)で行った。海洋土木工学を学んだり、研究したりしている鹿児島大学と同大大学院の学生が参加。東洋建設・本間組JVが湾内で施工している国土交通省九州地方整備局の鹿児島港臨港道路整備事業の現場を視察した。学生は大型起重機船に乗り移り、橋脚工事や揚重作業などの説明を聞き、現場関係者が施工や環境対策などに関する質問に丁寧に回答した。
見学会は33回目。同港での実施は初めて。港湾・空港インフラの重要性とともに、海洋土木の技術者、技能者、その仕事への理解を深めてもらうのが狙い。埋浚協の山下朋之企画広報委員長、伊藤洋二総務部部長ら協会関係者、九州整備局鹿児島港湾・空港整備事務所の村上和之副所長、東洋建設の増田直久統括所長、東洋建設JVの野田龍之介主任などが参加した。
見学したのは「令和6年度鹿児島港(鴨池中央港区)臨港道路橋梁下部工(P2)工事」の現場。海上区間の道路橋脚の躯体、鋼管井筒基礎を建設する。直径1・2メートル、長さ44・0メートルの鋼管矢板38本で構築した井筒の内部の海水を排水し、施工のための空間を海中に確保した上で、鉄筋や型枠の組み立て、コンクリート打設などを進めてきた。
村上副所長は離島や湾内の航路の発着場としてだけでなく、飼料の受け入れや南九州のエネルギー供給基地となっている鹿児島港の役割を説明。各港区を結ぶ港湾物流のネットワークを強化し、既存の幹線道路の交通混雑を緩和する道路整備事業について「移動の時間や燃料のコストが減り、経済効果は大きい」と紹介した。
野田主任は埋め立て護岸や海上の橋梁などがある鴨池中央港区線と「P2橋脚」について解説した。1センチメートルの精度にこだわる作業や、全国に10隻ほどの特別な作業船と県外から来航した作業船の特徴を分かりやすく伝えた。大型起重機船の上では、増田所長が強い波や風に耐える大型構造物を扱う海洋土木の仕事について語り、野田主任は「最適な施工方法を的確に選択するのが大事」と伝えた。
学生からは、鋼製とコンクリート製の橋梁の違いや、海の環境、桜島からの降灰、災害の対策などについていくつも質問があった。村上副所長や現場関係者が、条件に応じて橋梁の構造を選択し、環境影響評価や施工中の調査によって各種の基準を順守して施工していることを説明した。山下委員長はデジタル技術を生かした会員企業の取り組みや、噴火災害が発生した場合の対応なども話した。
海上工事を初めて見学したという女子学生は「教員から案内があって参加した。将来こういう仕事をしたいと考えている。スケールに圧倒されました」と話した。締めくくりに山下委員長は「国交省と連携し日本のインフラを支える活動に取り組んでいく。海の工事のことを学生や学校に話してください」とあいさつした。








