都市の魅力を高めるにはどのような再開発が最適なのか--。案件ごとに地権者と徹底して向き合い、考え抜く森ビルのスタイルを貫く。建築費の高騰などでスケジュールに遅れが出ている事業は、建設会社の技術提案を基に速度を緩めず取り組む。施工者との連携を密にし、円滑に工事が進められる体制を整える。
--経営方針を。
「森ビルらしい都市づくりを続ける。時代や場所によって求められる機能は異なる。最初から何を建てるのか決めつけるのではなく、案件ごとに何が必要なのかを考え、地権者と向き合い、地域の魅力や価値を高める。多くの人が刺激を受け、楽しめる場にすることで、国際都市間競争で東京が勝てるようにしたい」
--会社の成長には人材育成が欠かせない。
「大事なのは社員が都市づくりのプロジェクトに携わることだ。計画や設計、開発などさまざまな部門の知恵を重ね合わせて進めている。案件によって求められる内容も異なる。体験することが最も成長につながる」
--注力事業は。
「六本木五丁目西地区プロジェクトや虎ノ門3丁目プロジェクトが動いている。虎ノ門3丁目は2025年3月に準備組合を設立した。権利者と意見交換しながら基本計画を練っている。行政とも協議を始めている。国内はこの二つ以外も計画している」
--六本木五丁目西地区は事業スケジュールが遅れている。
「都市計画決定時は30年度の竣工を予定していた。それは難しくなったが、事業スピードを緩めることは考えていない。建設会社に工事の効率化に向けた技術提案をしてもらい、計画に反映する。地下掘削の部分をできるだけ浅くする。施設はできる限り効率的な施工が可能な構造に変更する。今後は工事に向けて施工者を公募するため、条件を整える」
--海外事業の展望を。
「海外は会長が中心になって取り組む。直近では米ニューヨークで、計画を詰める段階から現地の不動産投資信託会社と共同で再開発を進める。世界の先端都市であるニューヨークの状況やまちづくりの考え方など、学べることも多い。他の地域からもプロジェクトの話が複数来ている。一つ一つ内容を精査して参画するかどうかを判断する」
--建設会社とどう連携する。
「建築費の高騰や人手不足などで工事の遅れが恒常化すると、都市再生や災害への対応が滞ってしまう。建設会社や設備会社とより密に意見交換し、円滑に工事を進められる体制を構築することが大事になる」。
(6月23日就任)
(こうご・やすひろ)1991年慶応大学経済学部卒、森ビル入社。2019年執行役員、24年常務執行役員、25年取締役兼常務執行役員。人と協調しつつも道理に合わないことはむやみに同調しない「和而不同」が信条。再開発に当たっては関係者との連携を重視しながら、森ビルとしての軸はしっかり持って取り組む。東京都出身、58歳。









