BIMの課題と可能性・118/樋口一希/ダイレクト連携を実現したRebro・3

2016年6月30日 トップニュース

文字サイズ

 独自の方式で『形態情報:Modeling』と『属性情報:I=Information』を構築することから、設備BIMソフトとしても位置付けできる建築設備専用3次元CAD「Rebro2016(レブロ)」(NYKシステムズ)の機能、特徴などを概説する。


 □BIMとの連携以前から独自の3次元モデルを運用する「Rebro2016」の優位性と先進性□


 空調・衛生・電気の設備設計における機器・部材の干渉チェック+断面確認の効率化と整合性向上のため、独自の3次元モデルを運用してきた「Rebro2016」。躯体など建物本体の3次元モデルを入力、構築する優れたモデリング能力も備えている。

 「Rebro2016」では、躯体など建物本体の3次元モデルを入力する機能は『建築』データの作成と呼称している。

 工程上流からBIMモデルが提供されない場合には、DWG形式などの2次元図面(データ)=躯体図を下敷きにしてなぞり、高さ情報を付与して3次元躯体データ(独自の3次元モデル=『形態情報:Modeling』)を作成する。それらを実現するのが、それぞれ連動する平面・断面・3次元画面を同時に表示する視認性、操作性に優れた入力インターフェイスで、3次元躯体データを基に、断面図での諸所の確認、独自仕様の干渉チェック、自動スリーブ挿入などを実行する。

 現状、「Rebro2016」運用の主目的は、設備設計にまつわる2次元(施工)図面の作成のため、高度な2次元CAD機能も有しているが、合わせて統合された3次元躯体データから必要に応じて、平面図や断面図、詳細図、衛生図面、空調図面、スリーブ図などの各種図面を生成、加筆、修正できる。


 □BIMの要諦である『形態情報:Modeling』と『属性情報:I=Information』を包含する部材を作成□


 空調・衛生・電気の設備設計にまつわる機器・部材の3次元モデルを入力する機能を「Rebro2016」では、『部材』の作成と呼称している。

 標準部材は、「Rebro2016」が提供するもので、寸法変更で大きさを自由に変更できるパラメトリックな3次元部材。合わせて標準部材には、必要に応じて接続先との干渉情報などを仕込んでおり、接続元+接続先の関係性を判断し、接続位置を自動調整する機能も持つ。

 ユーザー登録部材は、3次元図形を任意に組み合わせて作成した3次元部材で、登録、保存し、再利用できる。従来、設備機器メーカーなどから提供されている2次元CADデータ(DWG:DXFなど)も含む。

 標準部材とユーザー登録部材は共に、BIMの要諦である『形態情報:Modeling』と『属性情報:I=Information』を包含しており、そのためBIMソフト「Revit」とのダイレクト連携(レブロリンク)では、Excelライクな表形式サブシステムを用いて、「Revit」側の『属性情報:I=Information』を「Rebro2016」側の3次元部材に割り付けできる。


 □デジタル情報の流通性、可用性を最大限に活用するため他分野のシステムとの連携を模索□


 「Rebro2016」では、BIMソフトとの連携とともに、積算見積もりソフトと点群処理ソフトとの連携を試行している。

 積算見積もりソフト「みつもりくん」(コンプケア製)との連携は、従来、2次元図面(データ)を積算見積もりソフト側でトレースし、再入力していた作業を、図面+数量を包含する3次元モデルデータ渡しとすることで、積算ソフト側での拾い出し作業の大幅な時間短縮と精度向上を目指すもの。

 点群処理ソフト「Infipoints」(エリジオン製)との連携は、既存建物の室内空間を3次元スキャナーで読み込み、点群データ化、「Rebro2016」とのダイレクト連携(レブロリンク)を用いて、躯体と設備機器の面+画像に加え、配管などを配置した3次元モデルに自動変換し=図参照、その後、設備の維持管理などに援用するもの。今後、ニーズが顕在化する設備の改修計画・工事への援用が期待できる。

 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)