論説・コラム

回転窓/安全と幸せ [2020年7月31日1面]

 特別養護老人ホームの入所女性におやつとしてドーナツを与えたことで、女性准看護師が業務上過失致死罪に問われた事件。一審は有罪だったが、東京高裁は28日、逆転無罪を言い渡した▼急変事例で職員が刑事罰を受けるようになれば介護現場は崩壊する-。女性准看護師の支援団体は、そう訴えていた。現場の萎縮につながるとの懸念から、介護の今後を左右する裁判として注目を集めている▼弁護側証人として法廷に立った看護学者は...続きを読む

回転窓/観光の新常態 [2020年7月30日1面]

 時間と場所を選ばずに働ける就業・休暇スタイルの「ワーケーション」。コロナ禍を契機に在宅勤務などリモートワークへの転換が叫ばれる中、落ち込んだ観光需要の回復も狙った新たな働き方に注目が集まる▼政府もリゾート地などの休暇先で働くワーケーションの普及を、今後の観光戦略の目玉の一つに挙げる。休暇の取得・分散化といった課題を解決し、国内観光の新しい形の創出を目指す▼企業と地域が連携し、普段の職場とは別にリ...続きを読む

回転窓/新しい生活様式 [2020年7月29日1面]

 芥川賞作家の青野聰は若い頃、引っ越し魔だった。同じ場所に一年間住むことはなく、すぐに違う場所に居を移した。部屋に飽き、近所の人の顔に飽き、いつもの散歩コースに新鮮味を感じなくなればためらいなく移った▼ただ引っ越しには金銭的な負担だけでなく、家財道具の整理など面倒な作業が伴う。青野は“移動の衝動”について「荷物が少ないという自分の生活スタイルも影響している」としたが、それよりも住む場を選ぶ自由を大...続きを読む

回転窓/頑固な汚れに… [2020年7月28日1面]

 梅雨前線の影響で不安定な天気が続く。西日本の日本海側沿岸から東北地方に伸び、列島にべったりと張り付いたような梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、連休中も各地で大雨が降った▼うんざりするような蒸し暑さ。いつになったら夏はやってくるのか。7月も最終週を迎え、週内には太平洋高気圧の勢力が増し梅雨前線が北陸~東北エリア近辺まで北上しそう。西日本~東海は間もなく夏が到来、関東甲信や北陸、東北地方は梅雨明...続きを読む

回転窓/最善・最良の形 [2020年7月27日1面]

 今夏の五輪開催を見越して23日から大型連休としている企業もあったようだ。取材先の関係者は23日から11連休を取り競技の観戦を楽しみにしていた。だが残念ながら大会は延期。東京都民のため遠出は自粛し近場で3密を回避しながら過ごすという▼来夏に持ち越された五輪開幕まで1年を切った。競技日程は今年の予定を原則踏襲する。会場は使用期間や使用料などで調整を残すものの、全33競技と選手村、報道拠点も含めて同じ...続きを読む

回転窓/ご当地アマビエ [2020年7月22日1面]

 長髪に鳥のようなくちばし、体がうろこで覆われ3本足。正直あまりかわいいとは思えない妖怪「アマビエ」をモチーフとした商品が続々と登場している▼疫病退散に御利益があると言われ、新型コロナウイルスの感染拡大以降に人気が上昇。アマビエのイラスト入りカードやグッズ、菓子などが全国で商品化されている▼アマビエは江戸時代(1846年)の瓦版『肥後国海中の怪』で紹介された妖怪。疫病の発生を予言し、自分の姿を写し...続きを読む

回転窓/今こそアイデアが必要 [2020年7月21日1面]

 収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの流行。東京など大都市で感染者が急増するなど予断を許さない状況にある▼厳しい状況に直面しながらも日常を取り戻そうと行政機関や企業はさまざまな策を講じている。プロスポーツも無観客試合から有観客試合に移行。ニューノーマル(新常態)での試合開催が始まった▼入場者を大幅に絞ったサッカーJリーグの試合を先週末に観戦した。年間チケットで確保している席とは違う場所。自分の...続きを読む

回転窓/バウハウス101年目のスタート [2020年7月20日1面]

 1919年の設立から33年の閉校まで活動期間はわずか14年にもかかわらず、今なお世界に多大な影響を与え続けているドイツの造形学校「バウハウス」。デザインや建築のファンに限らず知られる、世界で最も有名なデザイン学校の一つだろう▼バウハウスはドイツ語で「建築の家」の意味。創設者で初代校長の建築家ヴァルター・グロピウス(1883~1969年)が名付けた。彼が提唱した「すべての造形活動の最終目標は建築で...続きを読む

回転窓/地方からの動きに期待 [2020年7月17日1面]

 自律分散による社会の強靱化と利他的視点に立った協調が必要-。三菱総合研究所がポストコロナで目指すべき社会像をこう提言している▼集中型社会から自律分散型社会への転換が、感染症対策や災害対応の面から社会の強靱化に寄与すると指摘。地方自治体が住民や地元企業を巻き込んで、豊かさを持続させる独自の取り組みが必要とも▼各地で模索が続く。高齢化率が4割弱に達し、25年先の高齢社会と言われる島根県雲南市。多様な...続きを読む

回転窓/飲食店の新常態 [2020年7月16日1面]

 街のにぎわいに欠かせない飲食店もコロナ禍で厳しい経営が続く。いったん解除された休業要請は、感染者の急増を受けて感染防止対策を未実施の事業者らを対象に再度要請されるようだ▼感染拡大の要因に挙げられる接待を伴う飲食店を「夜の街」と総称して危険視する発言は、他の飲食店に風評被害を与える。対策に率先して取り組んでも繁華街から客足は遠のくばかりだ▼テークアウトやランチ営業などで急場をしのごうとする店も少な...続きを読む

回転窓/治水の五則 [2020年7月15日1面]

 「清正公さん」と言われ、今も熊本県民に親しまれている武将の加藤清正。各地を転戦し武功を挙げたことは有名だが、最大の偉業は治水事業とも言われている▼清正が残した「治水の五則」は今の治水事業にも通ずる。水の流れを調べる時は「水面だけでなく底を流れる水がどのようになっているか調べよ」。堤を築く時は「川の流れに近いところには築いてはいけない」▼「外だけ大石を積み、中は小石ばかりという工事をすれば風波の際...続きを読む

回転窓/隙間を縮めて安全安心 [2020年7月14日1面]

 電車が駅に到着しドアが開いてさあ降りようとしたら、列車とホームの間が思った以上に開いていた。初めて訪れた駅だけでなく使い慣れた駅でも転落しそうになってびっくりした経験があるのでは▼急曲線のホームと線路で知られていたJR中央・総武線飯田橋駅(東京都千代田区)の新しいホームと駅舎が先週供用を開始した。列車とホームの隙間は最大33センチが15センチに。JR東日本によると、古いホームでは年平均で10件程...続きを読む

回転窓/正しく恐れ最善の日常を [2020年7月13日1面]

 近所の小学校が給食後の歯磨きをやめた。うまく口を閉じたまま磨くのが難しい児童がいて、飛沫(ひまつ)からウイルスに感染する懸念があるからという▼教員が歯科医の指導を受けて児童の歯磨きに力を入れてくれていた。「ありがたい」と感謝する保護者が多かったが、感染を懸念する意見も届いた。歯の矯正器具を装着した児童らは除いて、感染症の流行が収束するまでいったん中止するそうだ▼「新しい生活様式」にならって、変え...続きを読む

回転窓/新しい働き方と都市像 [2020年7月10日1面]

 富士通が新しい働き方への転換を打ち出した。テレワークを基本とし、自宅からオフィスに出勤する“通勤”という概念を根本的に変えるという▼自宅やハブオフィスなど働く場所を自由に選択できる勤務形態を導入。オフィスも全席フリーアドレス化を進め、2022年度末までに規模を半減するという。在宅勤務の環境を整える費用補助など制度も充実する▼注目すべきは通勤定期券代の支給廃止。定期券であれば出勤経費は固定化される...続きを読む

回転窓/ダムの役割 [2020年7月9日1面]

 頻発する豪雨災害を受け、今年の出水期はダムの治水機能が強化された。水力発電や農業用水などを目的とする「利水ダム」を、洪水対策に活用する協定をすべての1級河川で締結。大雨の洪水調節に使える貯水容量が2倍に増えた▼既存の枠組みにとらわれず、防災・減災の取り組みを再考する国の動きも活発化。管理者主体の従来の治水対策から、国や自治体、企業、地元住民など河川流域の関係者が協働して被害軽減に取り組む「流域治...続きを読む