海の日

2023年7月14日 特集

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「海の日」に寄せて/国土交通省港湾局長・稲田雅裕
 ◇あらゆる施策で「新しいインフラ行政」を推進
 平素より、港湾行政の円滑な推進にご理解とご協力を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げます。
 さて、コロナ禍におけるサプライチェーンの混乱・途絶、資源エネルギーの高騰など、我が国経済はかつてない大きな影響を受けております。
 このような情勢の変化に対応するためには、ハード・ソフトのあらゆる手段を活用し、社会が抱える課題に解決策を提示する「新しいインフラ行政」を推進しなければなりません。
 激変する世界情勢のもと、我が国企業のサプライチェーンの強靱化に資する国際基幹航路を維持・拡大していくことが喫緊の課題となっていることを踏まえ、本年2月に設置した「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会」において、令和6年度から概ね5年間程度で取り組むべき施策の方向性について議論し、本年6月に中間とりまとめを行いました。これまでの「集貨」「創貨」「競争力強化」の取組に加え、DX、GXを達成しながら競争力のある港湾を形成するため、東南アジア等からの広域集貨やコンテナターミナルの一体利用、大水深・高規格コンテナターミナルの整備・再編、「ヒトを支援するAIターミナル」の深化のための荷役機械の高度化等の技術開発を進めていくとともに、港湾の物流手続の電子化等を進め、貨物のトレーサビリティ確保にも資するサイバーポートについて、今年度中に物流・管理・インフラの3分野一体での運用を実現するなど港湾全体の生産性向上に向けて取組を進めてまいります。
 トラックドライバーの労働力不足が懸念される「物流の2024年問題」への対応として、モーダルシフト等に対応するための内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化が必要不可欠であり、必要となる港湾整備及び情報通信技術を用いた荷役効率化等の取組を進めるため、「次世代高規格ユニットロードターミナル検討会」を設置し、議論を進めてきたところです。本年6月に中間とりまとめを行ったところであり、船舶大型化等に対応した港湾整備や、ターミナルにおけるシャーシ位置管理等のシステム整備、貨物輸送需要を踏まえたシャーシ置き場、小口貨物積替施設、リーファープラグの整備等を推進してまいります。
 世界的な脱炭素化に向けた動きや政府方針等を踏まえ、気候変動対策を着実に推進していく必要があります。
 緩和策として、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成を推進してまいります。加えて、日本の港湾と海外主要港を結ぶ「グリーン海運回廊」の実現に向けた国際連携に取り組んでまいります。また、ブルーカーボン生態系の活用によるカーボンニュートラルの実現等を目指し、「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」を推進してまいります。
 再生可能エネルギーの主力電源化の切り札である洋上風力発電については、洋上風力発電設備の設置及び維持管理に不可欠となる基地港湾として、本年4月には、新たに「新潟港」を指定しました。今後も洋上風力発電の案件形成の状況や技術開発動向等を踏まえ、基地港湾の計画的な整備を進めてまいります。
 本年3月、コロナ禍で停止していた国際クルーズが本格的に再開しました。本年においても、多くのクルーズ船の寄港が予定されており、令和5年をクルーズリスタートの年として、クルーズ船の受入環境整備や寄港促進に向けた取組、地域経済効果を最大化させる取組、地方誘客促進に向けた取組を推進します。さらに、昨年12月には、みなと緑地PPP制度を創設し、民間活力による魅力的な港湾空間を形成して参ります。
 このほか、切迫する巨大地震・津波や頻発する台風等による高潮・高波被害等への対策等の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を確実に進めるとともに、気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方について、本年夏頃取りまとめ予定の交通政策審議会の答申を踏まえ検討してまいります。
 最後に、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨とする海の日を機として、「みなと」から我が国の抱える社会課題の解決を図り、国民全体のQOL(Quality of Life)向上を果たすとともに、海洋国日本の発展により一層貢献できるよう、努めてまいります。