アメックス/建設業のビジネス環境改善、専門チームで提案活動強化

2025年5月8日 企業・経営 [2面]

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 ◇CCUS向けサービス拡充
 アメリカン・エキスプレス(アメックス)が国内建設業のビジネス環境の改善に取り組んでいる。キャッシュレス決済の導入やビジネス・マッチングなど、専門チームを中心に提案活動を強化し、伴走型の営業サポートに力を入れる。昨年11月からは建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録事業者向けのサービス提供を開始するなど、より幅広い層へのPR活動を推進する。
 建設業のビジネス環境での課題として、アメックスは約束手形による取引慣習を挙げる。支払いサイトの長期化による資金繰りの圧迫を指摘。国が2026年までに約束手形の利用廃止、小切手の全面的電子化といった方針を示す中、キャッシュフローを改善し、事業継続を支援する支払いソリューションのニーズが建設市場でも今後一段と高まると見ている。
 企業間決済に関する調査によると、建設業での支払い方法は銀行振込がメインとなり、次いで現金、口座振替、手形・小切手、クレジットカード決済が続く。支払い方法で多様化が進む一方、請求(代金回収)での決済方法は銀行振込、現金が主流であり、特にカード決済の浸透率の低さが目立つ。
 こうした課題を踏まえ、アメックスは企業間カード決済の普及拡大に取り組む。請求側の加盟店は取引相手の与信審査・管理の手間とコスト、売掛金回収リスクなどを減らせ、キャッシュフローの安定化を図れる。新規顧客の獲得促進といった効果も期待できるとしている。支払い側のカード会員のメリットとして経理処理の簡素化とコストの一元管理(見える化)、支払期間の延長によるキャッシュフローの改善、入金漏れ・遅れの回避、ポイントプログラムの利用などを挙げる。
 グローバルネットワークとブランド力に強みを持つアメックスは、建設業界での取引先間の信用を高め、安心かつ迅速な決済ソリューションを提供。建設分野に特化した専門チームを組織し、ビジネスでの環境改善や関係強化を後押しする。
 アメックスのビジネス・カード会員向けに提供している付帯サービス「ビジネス・マッチング・プラットフォーム」には同業・異業種が混在し、会員同士によるビジネス拡大が期待される。全国のユーザーといつでも効率的につながるオンライン・プラットフォームに加え、対面でビジネスパートナーを探せるオフライン・イベントも定期的に開催。建設業限定のイベントを11月に初めて行う予定だ。
 24年11月からはCCUS登録事業者向けのサービスを展開。ビジネスカードの入会前でもアメックス会員専用のビジネス・マッチングに登録でき、オンラインによる新規顧客の開拓やパートナー発掘を行える。入会後はCCUSバッジの表示で属性を明示し参加者同士のコミュニケーション促進を図るほか、オンラインによる全国のユーザーへの自社PR、イベントへの参加申請権など、ビジネス・マッチングの全機能を活用できる。
 アメックスは幅広い職種が集うCCUS登録事業者との関係を深め、サービスの利活用を促しながら、建設業界全体で企業間カード決済の普及に弾みを付けたい考えだ。