神奈川県は施設の老朽化に伴い3月末で休館した神奈川県民ホールの建て替えに向けた検討に着手する。13日に有識者らでつくる「神奈川県立県民ホール本館再整備基本構想策定委員会」の初会合を開く。基本方針や機能・規模、管理運営方法などを整理し、年度内にも基本構想の策定を目指す。建て替えスケジュールなどは未定。県は本年度予算に基本構想策定など再整備関連として6780万円を計上している。
県民ホール(横浜市中区山下町3の1、敷地面積1万0946平方メートル)は1975年1月の開館。建築面積5846平方メートルで、建物はSRC造地下1階地上6階建て延べ2万8477平方メートル。約2500人収容の大ホールと約400人収容の小ホール、会議室、ギャラリー、レストランなどを備え、コンサートやイベントの開催、県民の文化活動拠点として愛されてきた。
2024年度の予備調査で大規模改修と建て替えの両面から耐用年数と建設費の試算、費用対効果などを検証した。建て替えでは大ホール2200席と中ホール1000席の施設拡充案(再整備概算額486億円)、大ホール2000席と中ホール1000席の現状と同規模案(同420億円)、大ホールは設置せず中ホール1000席の規模縮小案(同168億円)の3案で試算。3案とも再整備後の使用可能年数は80年を想定している。現施設の大規模改修では再整備後の使用可能年数を30年と設定、概算整備額は312億円と試算した。
県は耐用年数や費用のほか、機能面などの要素も加えて総合的に検討した結果、建て替えによる再整備方針を固めた。再整備に当たっては本格的なオペラやバレエなどの舞台芸術上演が可能で、障害者や高齢者も含めたバリアフリーなどを意識した施設を目指す方向性も打ち出している。