日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と公共発注機関などによる2025年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」が12日、関東地区の会合を皮切りにスタートした。業界の一丁目一番地である担い手確保に向け、土日閉所による完全週休2日工事の遂行と適正な工期設定、生産性向上を後押しするDXの推進などが議論の俎上(そじょう)に上がった。=2面に出席者一覧
国土交通省の岩崎福久関東地方整備局長は「防災減災、国土強靱化の取り組みが一層必要であると感じている。課題に対して身を引き締めて確固たる対策を講じていく。災害発生時の初期対応や建設産業の担い手確保の観点からも取り組んでいく」と述べた。日建連の押味至一副会長土木本部長は「時間外労働の上限規制の適用から1年が経過し新たな課題も生じている」と指摘し「最も効果的な取り組みが民間工事も含めて横展開されるようお願いする」と要望した。
意見交換会では▽公共事業予算の確保と入札・契約制度の改善▽働き方改革の推進▽生産性の向上▽担い手の確保-の四つのテーマで議論した。
働き方改革の推進では、会員企業が時間外労働上限規制を順守するために必要な人員増や現場サポート体制の構築に加え、ICTツールを活用して生産性向上に取り組んでいると説明。ただ、日建連の木村普公共契約委員長が「約39%の土木現場が月45時間の法定外労働時間に抵触しているという日建連の調査結果がある」とし、時間外労働のさらなる削減を目指して、受発注者が連携した取り組みが必要と訴えた。
関東整備局側はBIM/CIMの原則適用、ICT施工・遠隔臨場などを活用して生産性向上を推進し、「直轄土木工事における適正な工期設定指針(令和7年3月)」に基づく適切な工期設定に取り組む意向を示した。
日建連は、物流業にも時間外労働上限規制が適用されたことで「資機材の搬入日や納入時間の指定が難しくなっている」と説明し、工事発注前に発注者側で資機材などの保管や資機材運搬車両の待機場所を確保するよう求めた。関東整備局側は「詳細設計段階で現場条件などを考慮した施工計画を検討する。工事着手時に設計審査会を活用し受発注者間で協議する」と回答した。
意見交換会は、6月16日まで全国9地区で行う。