空調設備工事上場大手5社(高砂熱学工業、大気社、ダイダン、三機工業、新日本空調)の2025年3月期決算が15日に出そろった。前期に続いて活発な建設投資に応え、連結ベースでは4社が増収増益となり、それぞれ売上高と各利益段階で過去最高を更新した。業務の生産性向上策が実を結んだほか、労務費や物価の上昇を踏まえた価格転嫁の広がりを反映した。業績の先行指標となる単体受注高も4社が前期を上回った。豊富な手持ち工事を背景に来期(26年3月期)予想では施工体制を考慮し、受注高を控えめに見積もる傾向が現れている。
連結売上高では、高砂熱学工業が産業系を中心に設計・施工ノウハウを生かして工事を順調に進めた。ダイダンは短工期の医療関連施設などの案件が進捗。三機工業や新日本空調も繰り越し工事を着実に消化した。
本業のもうけを示す営業利益では4社が増加。各社とも増収との連動に加え、受注時採算性の改善や施工体制の最適化による効率化により収益性を高めた。賃上げなどによる販管費の増加を上回った。
大気社は売上高、営業利益で横ばいとしたが、国内データセンター(DC)案件などがけん引し、前期比で同水準を維持。経常利益も過去最高の水準を保つ。
26年3月期は、4社が増収を見込む。工場のカーボンニュートラル改修やDC整備など、製造業・非製造業で設備投資が底堅く推移し、良好な受注環境はしばらく続くとみる。連結ベースの繰越工事高は高砂熱学工業、ダイダンが過去最高を更新。三機工業と新日本空調も高水準を維持する。一方で単体受注高の予想では公表する4社が大幅な増加を見込まず、三機工業は施工体制を考慮した数字とした。24年4月に時間外労働上限規制が適用されており、施工力の維持がますます重要になりそうだ。