中国地方整備局岡山河川事務所は18日、岡山県西部を流れる高梁川で進める河川改修事業の着工式を倉敷市内の河川敷で開いた。同市の酒津地区で2025年度から10年間で約210億円を重点投資し、堤防の強化などを実施する。総社市の清音地区では堤防のかさ上げを行い、豪雨による浸水リスクを軽減する。
18年7月の西日本豪雨では、高梁川の増水によって支流の小田川を含む8カ所で堤防が決壊。倉敷市真備町では浸水面積が約1200ヘクタールに上り、約4600戸の家屋が被害を受けた。
その後、緊急治水対策プロジェクトして高梁川と小田川の合流点を4・6キロ下流に付け替える工事が行われ、24年3月に事業が完成している。
今回の酒津地区の対象区間は倉敷市街地に近接する約2キロ。重点的に整備を行う「緊急対策特定区間」に設定し、左岸側の侵食対策として高水敷を整備するほか、堤防の断面拡大や押さえ盛り土など浸透対策を実施する。笠井堰は部分改築を行い、河道の掘削なども進める。笠井堰の下流側では文化財発掘調査を予定している。
清音地区では県道沿いの約400メートル区間で堤防をかさ上げし、浸水被害の防止や軽減を図る。
着工式には国や県、市の関係者、国会議員ら約70人が出席。中国整備局の林正道局長は「高梁川のさらなる安全度を確保するため重点的に河川整備を行い、一日も早い完成に向けて努力する。流域内のあらゆる関係者と連携して地域の安全・安心の確保に努める」と述べた。
来賓の加藤勝信衆院議員は「災害は待ってくれない。一日も早く完成するよう地元としっかり進めたい」と話した。伊東香織倉敷市長や片岡聡一総社市長らも祝辞を述べ、早期の完成に期待を寄せた。
続いて、小平剛弘岡山河川事務所長が事業の概要を説明し、関係者が鍬入れを行った。