国土交通省や利根川沿いの自治体らは、17日に「第73回利根川水系連合・総合水防演習」を宇都宮市内で開いた。26の機関を含む約5000人が参加。水防技術の向上や水防団の士気高揚を狙い、関係者が救護訓練やタイムラインに沿った本番さながらの実践的な訓練を行った。高橋克法国交副大臣や福田富一栃木県知事、脇雅史全国水防管理団体連合会会長らも現場に駆けつけ演習を視察した。
水防演習は1947年に関東地方を襲った戦後最大の水害「カスリーン台風」を受け、5年後の52年に第1回を開催した。水災害から流域の住民を守るには日ごろの水防活動が欠かせないという機運が高まり、現在は利根川の沿川5県(埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県)が持ち回りで毎年実施。昨年度は千葉県香取市で行った。
本年度は国交省と沿川5県に加えて東京都と神奈川県、宇都宮市の関係26機関が鬼怒川左岸に参集した。高橋副大臣は「激甚化する水災害からの被害を最小限に抑えるにはハード対策と水防活動が重要だ。水防技術の研さんや伝承、水防体制の一層の充実強化に協力をお願いしたい」と訓示を述べた。岩崎福久関東地方整備局長も「使命感と緊張感を持って演習に取り組んでいただきたい」と力を込めた。
演習の第1部は水防団が手分けして土のうを製作する水防工法訓練を実施=写真(関東整備局提供)。続いて宇都宮市清原地区防災会や宇都宮大学地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科らが自衛水防訓練を体感した。
第2部の救出・救護訓練は鬼怒川の堤防からあふれ出した水が市内に流れ込んだことを想定し、市消防局が水没車両から人を助ける救助訓練に臨んだ。佐藤栄一宇都宮市長らがウェブ会議を利用したホットライン訓練を行った。
閉会式では藤巻浩之国交省水管理・国土保全局長が講評を述べた。