関東地方整備局は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で、4月に適用を開始した新たな運用指針の取り組み状況を把握する関東ブロック独自の指標案を明らかにした。業界団体の意見や政策誘導のしやすさを踏まえ、2項目を追加。2025年度から「工事書類簡素化の取り組み」と「情報共有システム(ASP)の導入状況」を調査する予定だ。
関東整備局では国や特殊法人、都県らが発注関係事務の共通ルールとなる運用指針を適切に実施しているかを毎年度調査。全国統一指標(施工時期の平準化・適正工期の設定・ダンピング対策)と関東独自指標について調べている。
独自指標の調査は19年度に始まり、現在は▽予定価格の適正な設定▽適切な設計変更▽週休2日制工事の取り組み-の3指標で各自治体の動向を把握。うち予定価格設定の達成状況は19年度が67%だったのに対し23年度は86%と19ポイントアップし、発注者の多くが最新の積算基準などを使っていたことが分かった。設計変更の実施率も19年度は49%だったが、23年度は70%に上昇。設計変更ガイドラインの運用が広がりつつある。
整備局は政策誘導ができたと判断し、週休2日制工事を除く2項目の調査を一度終了。25年度からは工事書類簡素化の取り組みと受発注者が書類を電子データで管理するASPの導入状況を調査する。指標の詳細は今後詰めるが、書類の簡素化では整備局が運用する土木工事電子書類スリム化ガイドのように類似した取り組みを行っているかを確認する。調査は国、特殊法人等、都県、政令市を対象に3~5段階で評価する。
新たな指標は20日に関東整備局など国の出先機関や同局管内の県、政令市、特殊法人など64機関で構成する関東ブロック発注者協議会幹事会=写真=で示した。関東整備局によると、指標の目標値などは11月に開く発注者協議会で明らかにする方針だ。
改正公共工事品確法を踏まえ、国土交通省は働き方改革・処遇改善や生産性向上などをポイントに運用指針を修正。目玉施策の一つとして総合評価方式の新タイプ「技術提案評価型SI(エスイチ)型」を試行する。SI型は発注工事で価値の高い資材などを「技術向上提案」として採用する場合、予定価格の5%を上限に契約金額を変更する。生産性向上に必要な新技術の活用促進につなげる。
幹事会では財務省関東財務局が「国の歳出予算の繰越制度」を解説。債務負担行為などの活用によって、発注工事の平準化や週休2日の実現につながることを周知した。