埋浚協/働き方改革推進へ適正な工期・経費確保を、CCUS職種に海洋土木工追加へ

2025年5月22日 行政・団体 [1面]

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 日本埋立浚渫協会(埋浚協)の清水琢三会長は20日、東京都内で開いた定時総会後に記者会見し、海洋土木で働き方改革の取り組みをさらに推進する考えを示した。時間外労働上限規制の適用から1年が経過。清水会長は「港湾関係工事ではほぼ順守できている。現場の実態調査結果に基づき国土交通省港湾局、地方整備局港湾空港部などとの意見交換の成果が出ている」と評価した。
 ただ規制順守を踏まえた働き方改革の取り組みで「現場のサポート体制の構築に人もコストもかかっている」と指摘し、発注者に対し適切な工期設定と経費の確保を求めた。
 清水会長は「(働き方改革は)港湾工事で働く全ての技術者、技能者が一体となって取り組む必要がある」とし、海洋土木工事は気象・海象の影響を受けやすいことを考慮して4週8休に取り組んでいると説明。「陸上クレーンや生コンクリートなど関連産業の時間外労働規制順守の取り組みも影響があり、コストは増加する方向だ。発注者には適切な工期とコストで発注してもらいたい」と訴えた。
 適正利益の確保に向けては「積算と実態が乖離(かいり)している現場もある」とした上で、各種積算基準を適正化するため関係機関と連携し検討を進める方針だ。清水会長は「上部工のコンクリート打設では品質上問題があるバケットを使用した施工での発注がいまだにある」ことを問題視。「実態に合わせた積算上の取り扱いにしてもらいたい。積算基準の改定や、現場条件が異なる場合に柔軟な設計変更がされるよう要望する」と述べた。
 DXを一層推進するため、2025年度に「自動・自律化ワーキンググループ(WG)」を立ち上げた。グラブ浚渫船の自動・自律化の研究に成果が出ており、国交省など関係機関と連携し実用化に取り組む方針だ。
 埋浚協は業界の魅力向上に向け、建設キャリアアップシステム(CCUS)の新職種として「海洋土木工」の追加を目指している。清水会長は「今は海上起重技能者が登録できる職種があるが、他の海洋土木工事に関わる全ての人が専門性をしっかり評価され、CCUSに登録できるよう能力評価団体を立ち上げていきたい」と展望した。
 会見には早川毅、中村龍由両副会長も出席した。早川副会長は「若手人材の確保にはインターンシップなどで実態を理解してもらい、魅力に感じてもらうことが大事。船内など居住環境も含めて働き方改革だが、船への投資は事業量がないとできない」とコメント。中村副会長も「建設業、マリコンを知ってもらうのが重要だ。給与や働く環境など魅力に感じてもらうためにも事業量をしっかり確保していく」と述べた。