関東地方知事会議/上下水道耐震化の支援強化を要望、財政・技術面での対策急務

2025年5月22日 行政・団体 [4面]

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 1都9県の知事でつくる「関東地方知事会議」は21日に東京都内で会合を開き=写真、政府が6月にも策定する国土強靱化実施中期計画に、上下水道の耐震・老朽化対策の明確な位置付けを国に要請する方針を決めた。その上で十分な予算確保も求める。人口減少に伴い料金収入も減り、地方自治体の財政負担は増えている。財政面だけでなく技術面でも国が支援を強化することで早期に災害に強い都市を実現する。
 同会議は▽東京都▽茨城県▽栃木県▽群馬県▽埼玉県▽千葉県▽神奈川県▽山梨県▽静岡県▽長野県-の知事で構成する。
 国が4月に公表した2026年度から5年間の「第1次国土強靱化実施中期計画」の素案では、2000戸以上の給水を受け持つなど影響が大きい浄水場の停電対策完了率を30年に100%とする方針を掲げた。下水道の急所施設である下水道管路の耐震化完了率は30年に82%、43年に100%を目指している。
 上下水道の耐震化に向けては、国が24年3月に「上下水道地震対策検討委員会」を設置。同9月には今後の地震対策の在り方を取りまとめた。自治体は耐震化を加速する必要があるが、財政負担は一層大きくなっているという。
 埼玉県八潮市の道路陥没事故では、約80メートルにわたって下水道管のバイパス工事を行った。大野元裕埼玉県知事は「下水道管の点検や更新の方法が分からない中、バイパス工事を行った。事業費は300億円規模になった」と述べ、国が主体となった下水道管路の維持管理・更新手法の確立が重要だとの認識を示した。
 このほか同会議では下水道に比べ、水道施設・管路の耐震・老朽化対策事業に対する国の支援の割合が低いことから、国費率の引き上げも求めた。1都9県の知事は近く関係省庁などに要望を行う。