◇Bto“S”への動き応援
建設業振興基金(振興基金)が建設大臣(当時)の設立許可を得て16日で50年を迎えた。第1次オイルショック後の物価高騰を背景とした中小建設業の金融支援から始まった振興基金の役割は、時代の流れとともに移り変わる業界の課題に応える形で広がり続けてきた。谷脇暁理事長は「これまで築いてきた幅広いネットワークと信頼関係が大きな財産だ。これを土台にして事業活動を進化させ、深めていく」と今後を見据える。
--設立以来、果たしてきた役割は。
「建設業の全体にまたがり産業振興を図る唯一の財団法人として業団体の活動支援、国の産業政策の実行部隊を担ってきた。技術検定などの資格試験や、最近の柱となる建設キャリアアップシステム(CCUS)の運営など現在まで幅広い事業を展開してきた。多くの人に育ててもらい、その時々で変化する建設業の課題に対応できるノウハウを蓄えてきた」
「現在注力しているテーマの一つは人材だ。業界の魅力を伝える小中学生向けの広報活動や、新たな教育訓練の動きを支援していく。既存の訓練校のネットワークを生かし、地方でも教育機会を公平に享受できる仕組みが必要だ。外国人材が増える中、CCUSをさまざまな観点で使ってもらいたい。処遇改善につなげるため就業履歴の蓄積環境が不十分な現状を変えなければならず、育成就労制度の開始も見据えた環境整備が重要と考えている」
--今後の活動は。
「業界と行政の架け橋となり事業を進める基本は変わらない。その上で環境変化に対応しなければならない。CCUSの運営を通じベンチャーや異分野の企業とつながりを持った。今まで関係が浅かった領域も含め、ネットワークを拡充、強化する必要があるだろう。業界の課題に対応するため建設経済研究所(RICE)や建設技能人材機構(JAC)など他団体との連携も強化する。民間を含む多様な人材を招くなどし、職員の実行能力の維持・向上にも努めたい」
--業界へのメッセージを。
「長きにわたり協力してもらった出えん団体をはじめとする業界、行政の関係者にまずは感謝したい。個人的な思いではあるが、今後は新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)に向けた業界の“中”の変革にプラスして“外”への働き掛けに期待したい。建設業は社会をより豊かにし、人々を幸せにできる産業だ。地域社会の中核企業として発展を支える存在になり得る。BtoBからBtoCにとどまらず、いわばBto“S”(ソサエティー)を目指す視点が必要ではないか。社会から業界への評価と共感につながるそうした活動を支援、応援していきたい」。