鹿島/バックホウ作業の構造物接触防止、LiDARセンサー検知範囲内で強制停止

2025年5月23日 技術・商品 [3面]

文字サイズ

 鹿島はトンネルや鉄道軌道下など狭隘(きょうあい)な施工環境のバックホウ作業で、接触や衝突によって既設構造物の損壊を回避するための衝突防止システムを開発した。バックホウに取り付けた2DのLiDAR(ライダー)センサーの検知範囲内に既設の切梁や電線ケーブルなどが入ると作業中のバックホウを自動的に強制停止させ、警告ランプとブザー音によってオペレーターに通知する。
 同システムは、物体を検知するための2DLiDARセンサー2台とバックホウのブーム・アームの位置や機体傾斜を検知するための傾斜センサー3台、検知範囲を設定し物体を検知したことを認識するコンピューター1台などで構成する。
 バックホウの上方にある既設物への接触や衝突を防止するため、中型のバックホウによる作業中に既設切梁や電線ケーブルなどの既設物が事前に設定した検知範囲の中に入ると強制的に自動停止させる。同時にキャビン(運転席)内のモニターと警告ランプが点灯し、ブザー音でオペレーターに周知。検知範囲は施工条件を考慮し、モニター上で任意に設定できる。
 同社が代表企業を務めるJVが施工するトンネル工事「みなとみらい21線車両留置場建設工事」(発注者=横浜高速鉄道)、軌道下の地下掘削工事などを行う「西武鉄道新宿線中井~野方駅間連続立体交差事業に伴う土木工事第1工区(その24)」(事業主体=東京都、発注者=西武鉄道)にそれぞれ導入した。オペレーターが目視で確認できない高さの既設物に対する接触・衝突の防止や絶対に傷つけたくない構造物に対する接触・衝突の防止、経験の浅いオペレーターによるバックホウ作業の操作支援、オペレーターの不注意による接触・衝突の防止といった効果を確認した。
 今後も同システムを狭隘な施工環境の工事に適用し耐久性を検証。センサーによる検知精度や安全性能をさらに高め、さまざまな工事への適用拡大を目指す。