熊本市は本庁舎の移転建て替えに伴い解体予定の現庁舎跡地(中央区桜町、敷地面積1万0377平方メートル)について、利活用に関する意見を聞くサウンディング(対話)型市場調査の結果概要を公表した。参加者のうち、14グループから高価格帯ホテルを軸とした複合施設が最適との意見があった。引き続き市民や有識者の意見聴取を行い、2026年度までに跡地利用の方向性を固める。
対話調査は24年10月から今年4月にかけて実施。デベロッパーやゼネコンなどを対象とするA部門には15グループ、現庁舎周辺などの地権者らを対象とするB部門には6グループが参加した。
A部門のうち、現庁舎跡地の活用用途について、高価格帯ホテルを求めたのは14グループ。高い観光需要がありながら、市内に高価格帯ホテルが少ない現状を踏まえ、「誘致の可能性は高い」とした。
ホテルと組み合わせる複合施設の用途については、複数回答で13グループが商業、11グループが住宅、10グループがオフィス、9グループが広場・公園、3グループが図書館など公共施設を挙げた。
商業は「中心市街地との客層の重複を避けた店舗の導入」が条件になるとの意見があった。住宅は「事業が成立しやすくなり、民間事業者の参入意欲が高くなる」、オフィスは「キーとなる企業誘致と合わせた検討が重要」とした。
事業手法については、民間側としては土地売却の方が事業を成立させやすいが、立地を踏まえると「定期借地でも成立する」との意見が出た。
B部門では市に対し、「計画に応じた柔軟な高さ制限、容積率の緩和」などを求める声があった。
市は26年度に新庁舎整備を契機とした中心市街地の活性化に関する施策方針を示す「(仮称)庁舎周辺まちづくりプラン」を策定。有識者検討会での議論や市民アンケートの結果を踏まえ、現庁舎跡地の利活用方針についてもプランに盛り込む。プラン策定を踏まえ、27年度以降に跡地利活用の事業者公募に向けた要件の検討などに着手する。