安藤ハザマ、コベルコ建機/自動運転ショベルの長期安定運用確認、シールド現場で実証

2025年6月13日 技術・商品 [3面]

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 安藤ハザマとコベルコ建機は共同開発した自動運転ショベルを実用化するため、4~6月に初となる長期間の実証実験を施工中のシールドトンネル工事現場で行った。国土交通省が定める「自動施工における安全ルールVer.1・0」に基づきリスクアセスメントを実施し、無人エリアや中継エリア、立ち入り禁止エリアなどを設定。無人エリアでは自動運転と遠隔操作システムを組み合わせ、無人作業を実現した。エリア監視する機能も利用し、長期にわたる作業を無事故で安全に完了させた。
 自動運転ショベルの長期安定運用と安全確保を実証実験したのは、安藤ハザマが茨城県茨城町などで施工する「R5霞ケ浦導水石岡トンネル(第3工区)新設工事」(発注者・国土交通省関東地方整備局霞ケ浦導水工事事務所)の現場。泥水式シールド工法で延長4880メートル、仕上がり内径3・5メートルの導水トンネルを構築している。工期は2026年6月30日まで。
 現場実証では、油圧ショベルの自動運転で有人ダンプへの掘削土砂積み込み作業を繰り返し実施。シールド掘削に伴う土砂の排出量や土砂質の環境変化に対し、現場人員がタブレットによる調整機能を使い柔軟に対応した。ダンプトラックの停車位置の変化には、AR(拡張現実)マーカーなどを使わず新たに開発した物体検知機能で対応。実工事で約2カ月間の長期運用を実現した。
 車両走行路や建屋が近く十分に自動施工エリアを確保できないといった課題にも対応。自動運転ショベルによる動作経路逸脱検知機能や、現場に設置したレーザーバリアセンサーとの連携などによるエリア監視機能を利用。約2カ月の作業を安全に完了させた。
 両社は19年4月に油圧ショベル自動運転システムの共同研究に関する協定を締結。システム開発と段階的な実証実験に取り組んでいる。今回の現場実証検証で自動運転ショベルの実用化、本格展開が可能と判断。適用工種の拡大や現場展開に向けた取り組みをさらに加速させる。