北九州市/市立医療センター再整備、建て替え軸に有識者検討会で議論

2025年6月25日 工事・計画 [13面]

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 北九州市は施設が老朽化している市立医療センター(小倉北区馬借)について、今後の整備の在り方を検討している。現在地建て替えまたは移転建て替えを視野に、「市立病院等の医療提供体制のあり方に関する検討会」(座長・松永裕己北九州市立大学大学院教授)で方向性に関する議論を進めている。8月の検討会会合で議論の取りまとめを行い、これを踏まえ、なるべく早期に市としての最終的な整備方針を示す考え。
 現在の医療センターは本館(SRC造地下1階地上9階建て延べ2万5262平方メートル)、別館(RC造6階建て延べ5691平方メートル)、管理棟・感染症病棟(RC造5階建て延べ4565平方メートル)などで構成。病床数は514床。敷地(面積約1・7ヘクタール)内には看護専門学校や職員向け保育所、立体駐車場も立地している。
 23日に開かれた検討会の会合では、2022年度の調査結果を基に、建て替えによる整備の方向性を議論した。
 現在地建て替えの場合、敷地西側の管理棟、立体駐車場の位置に新病棟を整備し、敷地南東側の別館は大規模改修の上で管理部門として継続使用する案が示された。現在地はJR小倉駅から約900メートルと交通利便性も高く、移転に伴う患者への影響を少なくできるというメリットが大きいとの意見が出ている。
 一方、現在地は河川氾濫時に3~5メートルの浸水可能性があり、災害リスクの懸念がある。現在地建て替えでは限られた敷地内での工事となり、工期が約10年と長期に及ぶことも大きな課題となる。そのため用地確保の難しさはあるが、工期短縮や抜本的な災害リスクの低減というメリットが大きいとし、移転建て替えを求める声もある。
 再整備では長寿命化改修も視野に検討しているが、地下にある非常用発電装置などの移設が建て替え以外では困難とされている。新病院では災害時にも医療提供体制を維持できるよう、免震構造を採用する必要もある。そのため、現在地もしくは移転での建て替えが有力案となっている。