都市再生機構は1日、組織の理念を表現する新たな「事業メッセージ」を公表した。メッセージは「ゆるやかに、くらしつながる」。団地は少子高齢化や地域活性化など、さまざまな課題に直面する。そんな中、住人同士がほどよい距離感でつながる仕掛け作りを通じ、課題解決や居心地のいい住環境の創出につなげたいとの思いを込めた。メッセージを紹介するテレビCMを4日に放映開始する。
1日に東京都内で記者会見して発表した。冒頭、石田優理事長は「日本住宅公団の設立後70年で状況は大きく変わった。少子高齢化が深刻化し、在留外国人も増えている」と指摘。「都市機構は箱物を貸すだけでなく、団地の中の豊かな空間や人間関係をうまく作っていく必要がある」と強調した。
メッセージに関して石田氏は「自然に緩やかに寄り添うようなコミュニティー形成を、お手伝いしていくという決意表明だ」と説明。「住む人やNPO、社会福祉団体などの協力を得つつ、メッセージに沿った形で自らを磨いていきたい」と話した。
理念を体現する先進事例として洋光台団地(横浜市磯子区)を紹介した。団地の建物を残しつつ、共用部の遊歩道や集会所などを更新。新たな共用部は住人同士をつなぐ心地いい空間として機能し、若年世代も増えているという。
監修を手掛けたクリエーティブディレクターの佐藤可士和氏は「団地の老朽化が課題だが、数があるので全てを建て替えるわけにはいかない。最低限の手を入れながら、新しくしていかないといけない」と指摘。「課題をハードだけで解決するのは難しい」とした上で、今回のリニューアルでは「住む人の活動をデザインし、活性化できるよう工夫した」と説明した。
記者会見には事業メッセージなどの検討に携わった池本洋一リクルートSUUMO編集長、井上由起子日本社会事業大学専門職大学院教授、都市機構の倉上卓也統括役、白須英樹住宅経営部長も登壇した。